インターネット通販大手アマゾンジャパン(東京)が、自社サイトに商品を納める取引先企業に対し、値引き販売した額の一部を補填(ほてん)させていた疑いが強まったとして、公正取引委員会は15日、独禁法違反(優越的地位の乱用)の疑いで、同社を立ち入り検査した。

 関係者によると、アマゾンは商品の在庫が膨らんだ際、取引先企業に無断で値引きし、その値引き分の補填を迫ってきたケースもあったという。アマゾンは取材に「公取委の検査に全面的に協力する」としている。

 ネット通販の拡大で米国発祥のアマゾンは存在感が増している。公取委の立ち入り検査は、強引な経営姿勢に警鐘を鳴らす狙いもあるとみられる。

 関係者によると、アマゾンは家電や食品などを取引先企業から仕入れて消費者に販売しているが、少なくとも昨年ごろから、取引先企業に値引き分の一部を負担するよう求めていた疑いがある。算定根拠を説明することなく要求額を提示。取引停止の可能性を示唆して要求したこともあるという。取引先側は販売力の大きいアマゾンとの取引を続けるため、要求に応じざるを得なかったとみられる。

 独禁法は、取引先よりも優位な立場にあることを利用して、相手に金銭など経済上の利益を不当に提供させることを禁じている。

 アマゾンは自社サイトを通じて商品を消費者に直接販売する一方、サイトでの商品販売を希望する取引先企業から手数料を徴収して出品させるサービスも行っている。

 公取委は2016年8月、出品者に対し競合サイトでの取引に比べて価格を同等か安くするなどの条件で契約していたとする独禁法違反容疑でも立ち入り検査した。その後、アマゾンがこうした条件の撤回を申し出たため、17年6月、違法性の有無を判断せず調査を終了した。(共同)