日本水産は7日、国産の完全養殖マグロを商品化したと発表した。「喜鮪(きつな)金ラベル」のブランド名で平成30年度は7500匹、約350トンを出荷する。世界的な需要増に伴い漁獲規制が強まる中、安定した品質や生産量を強みに事業の拡大を目指す。
養殖魚の卵を成魚まで育てる完全養殖は、水産資源保護の切り札だ。マグロでの研究を19年に始めた同社は近畿大やマルハニチロなどに続く4番手だが、餌の魚を独自開発の配合飼料などに置き換えることでコストや手間を軽減。また、水揚げ後すぐブロックに切り分ける加工・物流体制により、食べる段階でうま味成分のイノシン酸が通常より2割多くなるようにした。
まず鹿児島県薩摩川内市の養殖場から出荷し、大分県や長崎県にも拡大。31年度は出荷量を1千トンに増やし、将来的には海外輸出も視野に入れるという。
◇
完全養殖マグロ事業の展望を、日本水産の小林雄二執行役員に聞いた。
--小売店の引き合いは
「水産資源の持続可能性に対する関心が高まっており、反応は上々だ。刺し身用マグロの国内消費量は年間40万トンで、そのうち国産養殖はわずか1万5千トン。今後の伸長は間違いない」
--配合飼料の利点は
「稚魚の餌は通常、養殖したキスなどの小魚を与えるが、魚粉を加工した配合飼料で手間と費用が軽くなった。成魚の餌も同様に、魚肉ソーセージに似た新開発の飼料に置き換えた。餌のえり好みが激しいマグロに好まれるよう、“ぷるん”とした食感に仕上げた」
--事業拡大への課題は
「稚魚の生残率が1%前後と、まだ低い。当社の養殖ブリの場合は約17%。歩留まりの向上が不可欠だ。白姫エビ(バナメイエビ)の試験養殖もしており、効率を高めて事業化したい」
Read Again http://www.sankei.com/economy/news/180307/ecn1803070041-n1.html
0 件のコメント:
コメントを投稿