2018年4月1日日曜日

民営化、新たな「M」ロゴ張り替え

4月1日の営業開始に向け、車体側面に張り替えた新しいロゴマークを確認する作業員=堺市北区の中百舌鳥検車場で2018年3月31日、平川義之撮影

 1933年に開業した大阪市営地下鉄は31日、公営としての役目を終え、新会社「大阪市高速電気軌道」(大阪メトロ)として1日始発からの再出発に備えた。最古の公営地下鉄として大阪の発展を支えてきた地下鉄にとって大きな節目。愛着を持つファンや交通局職員らは、長い歴史に思いをはせていた。

 この日午後、御堂筋線で使用されている車両を受け持つ「中百舌鳥検車場」(堺市北区)では、同線で最新の「30000系」車両の側面などに、作業員がロゴマークのステッカーを貼り付けた。9路線の全1354両(3月末時点)を対象に張り替えるが、完了は6月末を予定しているという。

 同線梅田駅構内の壁には「4月1日、大阪市営地下鉄はOsaka Metroに。」と書かれたポスターが張られ、一眼レフカメラで車両を撮影していた男子大学生(19)は「幼い頃から親しんだ(市営の)シンボルマークが消えるのは寂しい」と残念がった。ホームで乗客整理をしていた男性駅員は「最後まで安全対策に努め、市営の長い歴史に傷をつけることなく終わりたい」と胸を張った。

 地下鉄は1933年5月、梅田-心斎橋間で開業し、経営の合理化や事業の多角化などを目的として、昨年3月の市議会で民営化が決定。交通局は1903年9月、当時の市工務課土木係が市電(路面電車)の営業を開始したのが始まり。市営バスも民営化され、大阪メトロの子会社になる。

 同線なかもず駅に最終の列車が到着したのは1日午前0時45分。回送前には制服姿の運転士らが車両と記念撮影をし、感慨深そうな表情で拍手をしていた。【岡崎大輔】

「高度集積都市、どう貢献」

 大阪府立大研究推進機構の橋爪紳也教授(都市文化論) 地下鉄は戦前の大阪市で急速に都市化と工業化が進み、人口が急増した時代に計画された。いかに高速に人を輸送するか、ということに応える課題解決の方法だった。当初から将来的な需要を見越して、1、2両編成の運行しかないが8両編成の電車が止まれるホームを設け、駅ごとに壁の色を変えるサイン計画など当時としては最先端で、大丸や阪急などの百貨店と地下で直結させたのも画期的だった。人の流れを新しく作りながら、商業のあり方も大きく変えた。

 現在は都心部にホテルやマンションが建ち、コンパクトで複合的な都市に再編が進む。今後は新路線がどんどん拡張される時代でもない。職住近接でオフィスや住宅、ホテルなどが混在する高度集積型の都市にふさわしい地下鉄のサービスが求められるのではないか。いかに都市の変化に貢献し、10年先、20年先の変化を見据えて基盤整備を図れるか。安全な運行という根本的な使命を継承しながら、地下を貫く高速鉄道網の新しい姿を示していけるのか。市民は注目している。【聞き手・藤顕一郎】

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