中国が米国の関税措置に対抗し、米国産の大豆や主要農産品への高関税の適用をちらつかせたことで、米農業セクターに動揺が走っている。
中国は4日、米国産の大豆、コーン、牛肉、小麦などに25%の関税を適用すると発表した。中国は世界最大の大豆輸入国で、米国から他の主要農産品も大量に輸入している。トランプ政権が航空部品からふ卵器に至るまでさまざまな中国製品への関税を提案したことへの報復措置だ。
米国の農業団体は、中国の動きによって自国産の農産物の価値が大きく低下しかねないと、すぐさま懸念を示した。一方、幅広い農業地帯で作付けが数週間後に迫る中、生産計画の見直しを検討する農家も出ている。
米国大豆協会会長でアイオワ州の大豆農家のジョン・ハイスドーファー氏は、米国が輸入制限に動くとの観測が浮上してから議会や政権に中国が報復措置に出る可能性について警告してきたとした上で「残念ながら、それも関税の打撃を受ける数十万の大豆農家の慰めにはならない」と話した。
中国当局は関税の実施時期を表明していない。だが通商紛争が激化すれば、農家が巻き添え被害に遭うとの懸念が農業地帯では強まっている。
同協会の推計によると、4日の大豆相場下落は、米国産大豆の価値が17億ドル(約1800億円)減少したことに相当する。
中国の関税発表は農産物市場を揺るがせた。シカゴ商品取引所(CBOT)の大豆先物は約2%、コーン先物は0.7%、それぞれ下落した。
ブンゲや アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド (ADM)など米農産物関連大手の株価は取引開始前の時間外取引で約3%下落したが、寄り付き後に値を戻した。主な農産品の値下がりが見込まれる中、肥料関連銘柄も安い。米東部時間4日午後1時時点でモザイクは1.5%安、CFインダストリーズ・ホールディングスは1.4%安をつけた。
米農務省の統計によると、2017年に中国が購入した米国産大豆は3200万トンと、総輸出量の約58%を占めた。一方、中国による米国産コーンの輸入量は約81万1000トンで全体の1.5%程度にとどまった。
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