2018年9月21日金曜日

通年採用拡大で形骸化も

合同会社説明会に参加する学生たち=名古屋市港区で2018年3月1日、木葉健二撮影

 政府が2021年春入社の採用までは現行ルールを継続する方針を固めたのは、大学側からルールの存続を求める声が強かったためだ。日程が迫っている21年春は、混乱を避けるために従来通りのスケジュールのままだが、その先は今後の議論次第。新卒一括採用や終身雇用など日本型雇用慣行とも関わるだけに、着地点を見いだすのは難しそうだ。

 「(21年春入社となる)現在の2年生が3年生と同じスケジュールで動くことができるならば、混乱が起きない。留学を考えている2年生も就職活動の時期が明確になって安心するだろう」。明治大就職キャリア支援室の小林宣子事務長は歓迎する。大学側には「ルール撤廃」で就活が一層早期化し、学業に差し障りが出るとの懸念が大きいだけに「ルール継続」にとりあえず安堵(あんど)している。

 ルール廃止論議のきっかけは、経団連の中西宏明会長の、今月3日の記者会見での「経団連が採用日程を采配すること自体に極めて違和感がある」という発言。世界的には時期を問わない通年採用が一般的。国境に関係なく人材獲得合戦が行われている中、日本でも通年採用が広がりを見せ始めている。会員企業からは「優秀な人材の採用が、時期で縛られるのは時代に合わない」(製薬大手社長)などと賛同の声が寄せられた。

 一方、採用に苦労している中小企業を抱える日本商工会議所の三村明夫会頭は「何らかのルールが必要」と苦言を呈した。経済同友会の小林喜光代表幹事も「前向きに評価したい」としつつも「一定程度、規制はいる」と単純にルールを廃止するだけでは済まされないとの認識を示していた。

 波紋が広がる中、「中長期的な議論とは別に短期的には日程を示す必要がある」(経済官庁幹部)との見方が浮上。経団連に代わり21年春は政府主導で現行ルールを継続する方針だ。

 ただ政府要請を受けた企業がどこまでルールを順守するかは見通せない。経団連のルールに縛られなかった新興企業や外資系企業が従来通りの採用活動を続けるのは確実。会員企業ですら厳密にはルールを守っていないケースも多かった。政府要請にも強制力はなくルールだけは残るものの、形骸化が一層進みそうだ。【横山三加子、水戸健一】

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