2018年10月2日火曜日

静岡県内の景況感横ばい、9月日銀短観

日銀静岡支店が1日発表した9月の静岡県の企業短期経済観測調査(短観)は、景況感を示す業況判断指数(DI)が全産業で6月の前回調査に比べ横ばいのプラス14だった。2020年の東京五輪・パラリンピックに向けた建設需要がけん引する一方、天候要因で一部業種が振るわなかった。全国では自然災害などで景況感の足踏みが鮮明になっているが、県内では影響が小さいという。

DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と回答した企業の割合を差し引いた値。調査は8月27日~9月28日に、283社を対象に実施。全社から回答を得た。

製造業は5ポイント上昇のプラス20、非製造業は4ポイント低下のプラス9だった。

東京五輪・パラリンピックを控え、建設関連の需要が旺盛でけん引役を果たした。木材・木製品は20ポイント上昇の0、金属製品は18ポイント上昇のプラス36、建設業は7ポイント上昇のプラス7だった。

一方、猛暑などの天候は業種によって景況感への影響が分かれた。猛暑で飲料の消費が伸び、食料品は20ポイント上昇の0だった。旅館・ホテルは台風など悪天候の影響で14ポイント低下のプラス43だった。レジャー関連を含む運輸・郵便は7ポイント低下のプラス21だった。

設備投資が全体を下支えする構図は続いている。はん用・生産用・業務用機械は4ポイント上昇のプラス17。協立電機の西信之社長は「過熱感はない。非常に好調だ」と語る。省人化投資などが活発で、県内企業の設備投資額(研究開発費などを含む)は18年度見込みで前年度比13%増と、前回調査に比べ上方修正した。

全国では大企業製造業が2ポイント低下のプラス19になるなど、自然災害や原材料高が逆風になった。日銀静岡支店の竹内淳支店長は「全国に比べると(災害の)影響は限定的」と述べた。

12月の先行きDI(全産業)は6ポイント低下のプラス8。今後の懸念材料としては燃料費や人件費の上昇、設備投資の償却負担などが挙げられるという。

短観は県内経済の堅調さを示しているが、県内企業には「個人消費はすでに弱まっている」(静岡伊勢丹の田中清社長)、「米中貿易戦争の激化によって先行きに不透明感が出ている」(協立電機の西社長)などと今後を不安視する声もある。仕入れ価格の上昇分を販売価格に転嫁できていない企業が多いのも懸念材料の1つになっている。

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