2018年11月26日月曜日

(論説)レジ袋規制 暮らし方見直す機会に

 暮らしの隅々まで行き渡るプラスチック製品。ごみとして捨てられた途端、厄介な存在になる。流れ着いた先の海洋を汚染し、生態系に深刻な影響を与えている。国際的に関心が高まる中、動きが鈍いとされる日本でも、レジ袋有料化の義務付けなど脱プラが進もうとしている。

 エコバッグやマイバスケット持参は、慣れてしまえば負担はない。バスケットであれば購入した商品をレジ袋に詰め替える一手間が省ける分、効率的。ところが、スーパーでレジ袋を断る客はそれほど多く見えない。コンビニでは、おにぎり1個にさえ袋に入れる丁寧さだ。

 用済みのレジ袋やプラスチック容器はごみ箱行きとなるが、ポイ捨てなどで適切な処理ルートから外れた場合、やがて海へと流れる。自然分解されず、汚染物質をも吸収。ウミガメなどが餌と間違えて飲み込み、5ミリ以下に砕かれたマイクロプラスチックが魚に蓄積される。それを人間が食べる循環は避けたい。

 環境省のプラスチック資源循環戦略案ではレジ袋有料化の義務付けや、ペットボトルや食品容器など使い捨てプラスチック排出量の2030年までの25%削減などを明記。来年3月までに決定する。

 中小・零細業者のレジ袋有料化の扱いは今後の調整になり、コンビニは義務化の対象となる見通し。現時点で、県内のスーパーなどで有料化しているのは一部にとどまっており、踏み出せない背景に客離れを懸念する声も上がる。

 果たして、客足は遠のくのか。人々の暮らしがもたらす環境への負荷は既に切迫した状況だが、あらゆる段階で、理解と実際の行動に隔たりがあるのも事実。企業にとっては目先の利を追うより、積極的な対応こそが消費者の共感を集めるだろう。

 外食業界でプラスチック製ストローの切り替えが話題になる中、アパレル業界にも動きが広がる。世界有数のファッショングループH&Mは、日本国内の全店で12月5日から紙製バッグにして有料化する方針だ。

 レジ袋使用を禁止している国・地域もある。国民1人当たりの使い捨てプラスチック製品廃棄量が世界2位の日本は特に対応が急がれよう。脱プラに向けては行政や企業、生活者、それぞれの理解と着実な行動が求められる。

 かねてより指摘される日本の過剰包装。「包む文化」は相手を思いやる美しい伝統ではあるが、時代に沿う形にしたい。

 知り合いに、若いが、風呂敷の使い手がいる。自在に結び方を変え、何でも器用に包んで運ぶさまは格好いい。

 できることから、暮らし方を工夫していきたい。

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