2018年11月25日日曜日

ゴーン容疑者 退任後受け取り 計画か 8年80億円 記載せずプール

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 金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑で逮捕された日産自動車の前会長カルロス・ゴーン容疑者(64)が、報告書に記載しなかったとされる自身の報酬について、退任後に受け取ることにしていた疑いがあることが、関係者への調べで分かった。同容疑者は記載しなかった八年間で約八十億円をプールし、一切使っていなかったとみられる。

 東京地検特捜部は一連の書類を押収。確定している報酬はそのつど、有価証券報告書に記載する必要があり、特捜部はゴーン容疑者が意図的に隠したとみている。

 上場企業は従来、有価証券報告書に役員全員の報酬総額だけを記載すればよかったが、二〇一〇年三月期からの新制度で、年一億円以上の報酬があった役員の氏名や金額も記載しなければならなくなった。

 関係者によると、ゴーン容疑者は新制度が始まる以前、年約二十億円の報酬を得ていたとされる。新制度で個人の額が公になるため、ゴーン容疑者は「報酬が高すぎる」との批判をかわそうと計画。有価証券報告書には報酬を十億円前後と記載し、別枠で年約十億円を退任後に受け取れる仕組みを側近の前代表取締役グレゴリー・ケリー容疑者(62)につくらせ、事実上の報酬総額を約二十億円で維持しようとしたという。

 日産は〇八年の株主総会で、役員報酬の総額の限度枠を年二十九億九千万円と決議。〇九年三月期の報酬総額は約二十五億円だったが、新制度となった一〇年三月期は約十六億円に減った。ゴーン容疑者個人の報酬は、八億九千百万円と記されていた。

 逮捕容疑となった一五年三月期までの五年間、有価証券報告書には役員に総額約十六億〜十八億円の報酬を支払ったと記されている。ゴーン容疑者には役員報酬の分配権限があり、関係者によると限度枠の二十九億九千万円から約十六億〜十八億円を差し引いた十数億円から、退任後のための報酬を捻出。逮捕容疑の五年間と直近の三年間を合わせ、計約八十億円積み立てていたが、現金の引き出しや支出は確認されていないという。

 特捜部は逮捕容疑の約五十億円を含む計約八十億円分について立件するとみられる。

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