2018年11月26日月曜日

三菱自がゴーン会長解任 進む一体化、広がる波紋 日産・ルノーの関係の行方注視

三菱自動車は26日、臨時の取締役会を開き、報酬過少記載事件で逮捕されたカルロス・ゴーン容疑者(64)の会長と代表取締役の職を解いた。ゴーン元会長は2016年に不祥事から経営危機に陥った三菱自への出資を即断し、日産自動車・仏ルノー連合と開発や調達など幅広い領域で一体化を進めていた。それだけに日産とルノーの関係が混迷すれば三菱自の経営再建の行方にも影を落とす。

三菱自の会長職は益子修最高経営責任者(CEO、69)が暫定的に兼務する。解任理由として「三菱自の業務を遂行することが困難になった」ことなどを挙げた。

「大きな成長のチャンスを約束する」。2016年5月、ゴーン元会長は日産と三菱自の資本提携記者会見でこう強調していた。それから2年半、ゴーン元会長が逮捕されたことは三菱自にも波紋が広がった。

「やっと安住の地が見つかったと思っていたのに。これから心配だ」。三菱自のある幹部はゴーン元会長の逮捕後にこう語った。「安住の地」とは日産ルノー連合を指す。三菱自は度重なる不祥事などで経営危機に陥り、親会社が何度も変わった歴史がある。

三菱自は1993年まで米自動車ビッグスリーの一角だったクライスラーと提携関係にあり、同社が三菱重工業に次ぐ大株主だった。97年、総会屋への利益供与などが発覚して経営が混乱し、筆頭株主は2000年に独ダイムラークライスラーに移った。00年代前半にはリコール隠しが発覚。03年にはトラック・バス事業の分社化に追い込まれ、04年に同社が三菱自の支援を打ち切ると表明した。

独力での再建が困難になり、05年には三菱重工を中心とした三菱グループの出資を仰いだ。だが16年に燃費不正が発覚。再び経営危機に陥り、頼ったのが日産だった。16年10月、日産が三菱自の株式34%を取得して筆頭株主となると、ルノーを加えた3社連合の一角として経営再建への道を歩んでいた。

日産が出資後、三菱自と日産ルノー連合の間でも協業が始まった。今年4月には購買や品質・顧客管理など3領域で初の機能統合に乗りだし、19年度からは研究・開発や生産などにも拡大する。

提携効果は三菱自の業績回復につながった。日産が出資した16年度は燃費不正問題が響き1985億円の最終赤字を計上した。だが、日産ルノー連合と合理化を進め18年度の純利益は1100億円になる見通し。「経営再建は最終盤に差し掛かっている」と三菱自幹部は話す。

ただ三菱自の事業規模は小さい。17年の世界販売は約103万台で3社連合の約9%にすぎない。再建にはルノー・日産の経営資源を生かすことが欠かせない。

20年度からインドネシアで日産の現地工場からエンジンの供給を受ける。組み立てラインまで協業を広げたり、中国など他地域での展開も視野に入れる。開発でも主力多目的スポーツ車(SUV)の次期モデルで日産車と車台の共有を検討。軽自動車の電気自動車(EV)の共同開発も進めている。

日産・ルノーと同様に、三菱自も「離れるに離れられない関係」(幹部)になりつつあった日仏3社連合。日産とルノーが今後、本格協議するとみられる提携関係の見直し次第では、三菱自の再建シナリオも揺らぎかねない。(山本夏樹)

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