25日の東京外国為替市場で円相場が急伸、一時1ドル=108円74銭となり、4カ月半ぶりの円高・ドル安水準となった。前日午後5時比で1円22銭も円高に振れた。ムニューシン米財務長官が24日、スイス東部ダボスで開催中の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で「貿易に関し、弱いドルは我々にとって良いことだ」と述べたことが、ドル安を容認した発言と受け止められた。午後5時現在は前日比93銭円高・ドル安の1ドル=109円03銭。
円高進行を受けて25日の東京株式市場は輸出関連株などに売りが広がり、日経平均株価は大幅に続落。終値は271円29銭安の2万3669円49銭だった。
ムニューシン氏は「(為替相場は)長期的には米経済の強さを反映する」と述べたものの短期的なドル安は「何ら懸念していない」と語り、ドル売りが加速。ロス商務長官が米テレビ番組で「ムニューシン氏はドル安を推奨したのではない。米国にとってドル安が最大の懸念ではないという意味だ」と説明したが、トランプ大統領が貿易赤字削減の観点からドル安志向を隠していないこともあり、ドル売りが止まらなかった。
トランプ政権は今年に入り、中国を主な標的に太陽光パネルの緊急輸入制限(セーフガード)発動を決めるなど保護主義的な政策を実行。市場では「ムニューシン氏は通貨政策でも強い姿勢に出る可能性を示唆した」(邦銀トレーダー)との見方も出ている。
円相場は年明けから円高基調にあった。日本の景気が回復する中、日銀の金融緩和策が縮小するとの見方が外国人投資家を中心に広がったためで、日銀が今月9日、長期国債の買い入れを減額したのをきっかけに円高が進んだ。黒田東彦総裁が23日の記者会見で「現在の強力な金融緩和を粘り強く続けることが必要」と縮小観測をけん制したが、円高傾向は続いた。
みずほ証券の鈴木健吾チーフFXストラテジストは「円高が1ドル=108~107円程度で止まるかが焦点。トランプ政権の貿易に関する発言次第で102円程度まで円高が進む可能性はある」と予想する。ただ、米国は1990年代後半にルービン財務長官が「強いドルは米国の国益」と語って以降、「強いドル政策」が基本方針。ムニューシン氏も過去に「長期的にはドル高は良いことだ」と述べていた。【宮川裕章、ワシントン清水憲司】
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