LINEは31日、MVNO事業を展開する子会社のLINEモバイルがソフトバンクと資本業務提携を行なうことで基本合意したと発表した。何を目的として資本業務提携を行なうのか。決算説明会では、本件に関する質問が多数出た。
LINEが発表したソフトバンクとの戦略的提携は次のようなものだ。LINEモバイルが2018年3月に実施する第三者割当増資にソフトバンクが応じ出資する。新生LINEモバイルの社長は引き続き、嘉戸彩乃氏が務めるが、問題はその出資比率だ。第三者割当増資実施後の出資比率は、ソフトバンクが51%、LINEが49%となる。
出資比率を見る限りLINEがMVNO事業を見限ったとも思えるが、出澤剛社長はダイレクトには答えなかったものの次のように回答した。「売ってしまうのかということについて、我々は49%の株式を持っている。イコールパートナーと言ったらいいのか、共同で事業を大きくしようという目線で今回発表させてもらった」とする。
そもそもの提携にいたったきっかけとして、逆風が吹き始めたMVNOの事業環境が原因とも見えるが、それについても出澤社長はやんわりと否定する。「LINEモバイルはMVNOとして順調に成長している。成長を加速させるための戦略的提携」(出澤氏)とする。
加えて、舛田淳取締役は「LINEモバイルのカウントフリーが多くの人に受け入れてもらえている。ユーザーの獲得効率はいい。しかし、LINEモバイルの価値を高め、さらに攻めていくには、端末調達や店舗の問題を含めてやるべきことがある。そこで提携にいたった」と業務提携の目的についても話す。
確かにKPI自体はよさそうだ。しかし、経営陣とのやりとりを踏まえても、腑に落ちないのが筆者の感想だ。LINEが単独でMVNO事業を進展・拡大させるには、LINE単独では厳しい環境になったとしか思えない。
100万契約で収益化が可能になるとも言われるのがMVNO事業だ。LINEモバイルは契約者数を公表していないが、収益化できるほどのユーザーを抱えてはいないはず。単独での成長が難しい経営環境になったとしか思えない。
新生LINEモバイルのマジョリティをソフトバンクが握ったことも依然として不可解だ。そこも腑に落ちないが、合従連衡の嵐がいつ起きてもおかしくないのがMVNO事業だ。先手を打ってキャリアと結び付いたのは、生き残りのためには正解のようにも思えるが、どうだろうか。
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