自動速度違反取締装置、いわゆるオービスの新型が登場しています。神奈川県警がまもなく導入する新型は持ち運びも可能で、これまで取り締まりが行われなかったような場所でも実施される見込みです。
持ち運び可! 測定から写真撮影まで自動で
速度違反を自動で取り締まる自動速度違反取締装置、いわゆるオービス(「オービス」はボーイングの商標)の新型が登場しています。
従来の自動速度違反取締装置の多くは、柱の上や路肩の外に設置された固定式のもので、設置箇所の直前には「自動速度取締機設置区間」といった警告標識が設置されているケースもあります。これに対し、警察庁が発表している「新型」はいくつかの種類がありますが、いずれも小さく軽量で、一部は持ち運びも可能。神奈川県警では、この持ち運びが可能な新型の運用を2017年度内にも開始する予定だといいます。同県警交通指導課に話を聞きました。
――導入する新型の自動速度違反取締装置は、どのようなものでしょうか?
持ち運びできるため、従来よりも臨機応変な取り締まりが可能になります。速度測定から写真撮影まですべて自動で、違反者には後日、呼び出し通知(出頭命令)を自宅に送付します。
――どのような場所で使用するのでしょうか?
おもに生活道路での取り締まりに使用します。通学路や、住民の方から(通過車両のスピードに関する)ご意見が寄せられている箇所、事故が多発している箇所などです。
――既存の自動速度違反取締装置を置き換える目的もあるのでしょうか?
いえ、路上に設置された固定式の自動速度違反取締装置とは目的が異なります。イメージとしては、随時実施している速度取締りにおいて使用する速度測定機に、写真撮影機能などが備わったというところです。
恩恵は誰に? 警察が期待するところ
――新型のメリットを挙げるとすれば、どのような点でしょうか?
いろいろな場所で取り締まりができることでしょう。従来の速度取り締まりは、現場で通過車両の速度を測定し、違反を認定したうえで、その先で待機している警察官に連絡し、違反車を安全な場所に誘導して停車させ、違反切符を交付する――という流れで、それぞれの役割を担当する人員が必要でした。大がかりになるため、取り締まりをしたくても場所が確保できず難しかったところもあります。これに対し新型は違反車を停める必要がなく、いままでできなかった箇所でも取り締まりが実施できます。
ただ、機器を設置して完全無人で取り締まりを行うわけではなく、実際には機器を監視する人員を配置する予定です。
――やはり期待は大きいでしょうか?
はい。取り締まりの効率化というよりも、速度の抑制効果に期待しています。このような機器があり、「いままで考えられなかったところでも取り締まりが行われる可能性がある」と知られることで、これまで以上に気を付けて運転していただけるのではないかと思います。ひいてはスピードの抑制、重大事故の防止につながり、もし事故があった場合でも、被害者のケガも加害者の違反も軽くなるでしょう。
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警察庁の資料によると、これまで速度違反自動取締装置が設置された一般道では、実勢速度(規制速度にかかわらず、実際に多くのクルマが出している平均的な速度)が設置前と比べ17.5km下がった例もあるといいます。
また同資料では新型の取り締まり装置として、今回神奈川県警が導入する「可搬式」のほか、それよりもやや大きな「半可搬式」、そして、従来型と比べるとはるかに小さな「固定式」の3タイプが挙げられています。2016年4月からモデル事業として埼玉県警と岐阜県警に3タイプがそれぞれ導入され、以後、ほかの県警でも可搬式の導入が進められているそうです。
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