NECは30日、国内8万人のグループ社員のうち3000人の希望退職を募ると発表した。同日まとめた2020年度までの新しい中期経営計画の一環。半導体や携帯電話などの事業売却を繰り返してきたが、一段のコスト削減に踏み出さなければ業績回復が見込めないと判断した。電機業界の競争が激しくなるなか、成長分野の育成が急務となる。
18年度中に間接業務部門や国内9工場で3000人の希望退職を募る。対象の工場などは今後詰める。3000人は連結ベースの従業員の約3%に相当する。2001年から3度のリストラで、計1万1300人を削減してきた。これ以上のリストラには否定的で、「苦渋の決断だった」(新野隆社長兼最高経営責任者=CEO)。
売上高に占める販売費・一般管理費(研究開発費は除く)の割合は直近で22%。競合に比べて高く、グローバルで生き残るには20%以下に下げる必要があるという。
NECは16年度に策定した中期経営計画を17年に撤回したばかり。ただ、20年度の営業利益を17年度見込み比2.5倍の1500億円に増やす目標は、前中期計画を踏襲した。成長に向けた新事業をいかにして育てられるかが課題となる。
NECは顔認証などIT(情報技術)を使ったセキュリティー事業を注力分野と位置付ける。20年度の同分野の海外売上高を2000億円と現状の4倍にする。販路拡大に向けて1300億円のM&A(合併・買収)投資枠を維持し、現地企業の買収を模索する。
得意とするオーダーメード型のシステム販売から、汎用のシステム群を軸とする事業構造へのシフトを目指す。開発コストを抑えて納期を早め、利益率を高める狙いだ。通信キャリア向け事業も機器からサービス販売に注力する。
かつて5兆円を超したNECの時価総額は8000億円台に落ち込み、競合のNTTデータや富士通の半分以下だ。NECに対する市場の期待は低いままだ。
NECは17年度の連結営業利益予想を100億円引き上げて、前期比43%増の600億円とした。18年度は希望退職などの人員削減や拠点の統廃合で数百億円のリストラ費用が出れば、「営業減益になるのは避けられない」(NEC幹部)。
「今やらないと乗り遅れるという、大きな恐怖感があった」とリストラに踏み切った理由を語る新野社長。世界的な電機業界の再編が加速するなか、早期にイノベーションを生み出し、稼ぐ力を回復できるか。残された時間は多くない。
Read Again https://www.nikkei.com/article/DGXMZO2632459030012018TJ2000/
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