新幹線「のぞみ」の台車に亀裂が見つかった問題で、メーカーの川崎重工業が台車枠の底部を不正に削った2007年当時、現場の兵庫工場(神戸市)に台車枠の削り込みを禁止する社内規定が文書で張り出されていたことが分かった。しかし現場では、溶接部の最小限の削りを許容した別の規定を誤って適用。ずさんな製造工程や品質管理体制で、欠陥製品が出荷されていた。
問題となった台車枠は設計上、鋼材の板厚8ミリ、加工後は7ミリと決められている。しかし川重が鋼材と部品を溶接する過程で、最も薄い箇所は4.7ミリまで削られ、強度不足で亀裂が早く進んだと考えられている。
川重によると、製造時の注意事項などを記した「作業指導票」は台車枠の鋼材を削ってはいけないと規定していた。指導票は作業現場の掲示板に張り出され、担当の作業員約40人全員が見られる状態だった。
一方、台車枠以外の鋼材も含めた一般的な「組立溶接作業基準」で溶接部付近は0.5ミリまで削ることが許容され、作業員を統括する班長が拡大解釈して削り込みを指示。さらに作業員がこの制限を超えて削り、最も薄い箇所で4.7ミリにまで加工したことも班長は把握していなかった。
当時の作業員は底部に部品を溶接しようと削り込んでおり、規定に反しているとの認識はなかったという。同社は「部品をきっちり付けることと、削ってはいけない規定のどちらが重要か、作業員は分からなかった」と説明している。
JR西日本は、定期的に車両を解体して行う「台車検査」や「全般検査」で、磁気を利用する検査法で傷やひび割れがないか調べている。ただ、台車枠の検査箇所は荷重が特に集中する8カ所に絞られ、今回の亀裂部位は対象外だった。【根本毅、宮本翔平】
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