トヨタ自動車が自動運転技術の新会社を設立するのは、自社単独での開発では米グーグルなどIT(情報技術)の巨人との競争に勝てないという危機感があるためだ。グループの総力を結集しつつ外部の人材も取り込み、開発のスピードを上げることを狙う。
新会社に参画するデンソーはセンサーやカメラなどで構成する高度運転支援システム(ADAS)を手掛け、画像認識技術などに強みを持つ。アイシン精機も自動変速機やブレーキ関連製品を扱い、独自に自動運転技術を開発してきた。
従来の自動車開発はトヨタが全体の設計や仕様を決め、それをもとに部品メーカーが開発するという流れだった。ただ自動運転ではハードとソフトウエアとの連動がカギを握る。基盤技術の開発段階からグループの総力を結集させることで、自動運転技術の一貫開発体制を整える。
新会社の最高経営責任者(CEO)に就くのはトヨタの人工知能(AI)開発子会社「トヨタ・リサーチ・インスティテュート(TRI)」の幹部を務める元グーグルのジェームス・カフナー氏。トヨタはTRIのCEOであるギル・プラット氏も1月から本体の副社長級の新設ポストで先進技術開発の責任者に据えるなど、TRIとの連携を加速させている。
トヨタは昨年、電気自動車(EV)の基盤技術の開発でデンソーやマツダなどと新会社を設立。電池の開発、生産でもパナソニックと協業を検討する。先進技術の開発で外部企業との連携が加速しており、今回の新会社もこの流れに沿ったものだ。自動運転の新会社は3社で事業をスタートするが、さらに参画企業が増える可能性もある。
先進技術の開発で新たな組織を設けるのは他の自動車メーカーも同様だ。
日産自動車は国内の研究開発拠点でソフトウエア技術者を300人規模に増員する計画。2016年にはコネクテッドカー(つながる車)などの開発体制を強化するため、東京都内に新たな開発拠点を開設した。
ホンダも17年、東京・赤坂に研究拠点を本格稼働させた。外部と連携して研究開発を効率的に進める「オープンイノベーション」の窓口とし、主にAIや自動運転、コネクテッドカーなどの研究開発に役立てる。
各社とも本社とは違う環境や待遇を用意することで、優秀な人材を獲得しやすくする狙いがある。
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