JALは4月2日、羽田空港格納庫にて2018年度入社式を実施した。赤坂祐二新社長からJALグループ33社約1,642人の新入社員へ、忘れてはいけない教訓を胸に刻みつけられ、「TAKE OFF」というメッセージとともに、JALの力になる新しい巨大な鶴丸が描かれた。
「みなさんの挑戦、あるいは失敗を、大いに期待」
元パイロットの植木義晴氏からバトンを受け取った新社長・赤坂祐二氏は整備出身。入社式の間もすぐそばで整備士が働いており、そうした"ホーム"で社長としての開幕戦を飾れることに、赤坂社長はうれしさがあると話した。そんな赤坂社長の社長訓示は、赤坂社長自身の入社の想いから始まった。
赤坂社長が入社したのは31年前。その2年前の昭和60(1985)年8月12日、JALのジャンボジェット機が群馬県宇野野村御巣鷹山に墜落した日本航空123便墜落事故が発生した。「あのような悲惨な事故を二度と起こさないために、自分の力を尽くしたい」という想いが、赤坂社長がJALに入社した最大の動機であり、その想いは今も全く変わりはないと話す。
「安全運航こそがJALグループの存立基盤であり、社会的責務、最大の使命であります。みなさんはこれからさまざまな職務につくことになります。ただ、どのような職務であっても、全ての業務は必ず安全運航につながっています。安全は全員で守っていくことを絶対に忘れないでください。
次に、みなさんは2010年1月19日のJAL経営破たんを覚えていらっしゃるでしょうか。多くの方々に多大なご負担と支援をいただいて、再建の道を歩み、今日に至っています。新入社員のみなさんにとっては入社する前のことですが、過去の航空事故とともにJALグループである限り、決して忘れてはいけない。その教訓を今後に生かしていく必要があります。
世界で一番お客さまに愛され選ばれるというJALグループのビジョン、この選ばれ愛されるという言葉の中に、過去の経験を生かし、教訓を生かし、多くの方々に恩返しをする。世のため人のために尽くす。そうした決意が込められています。
新入社員のみなさんに期待すること、それは、今のみなさんにしか見えない・感じられないもの、これに気付いてほしい。そして、若い力と勇気、我々にできない・思いもつかないことをやらかしてほしい。私は必ず、みなさんの言葉に耳を傾け、もし失敗しても敬意をもってその失敗を歓迎したいと思っています。みなさんの挑戦、あるいは失敗を、大いに期待しています」(赤坂社長)。
赤坂社長の言葉を受け、新入社員を代表して青木裕太郎さんは、「私たち新入社員は日本、そして世界の人々に新鮮な感動を与えられるように、主体性をもって考え、行動し続けることで、果敢にチャレンジしていく所存です。ここにいるJALグループの新入社員は今、新たな使命を、大いなる希望を抱きながら、今日この場に立っています。
慣れない環境への不安もありますが、一日も早く一人前になれるよう、努力します。常にお客さま目線をもち、私たちの会社の存立基盤である安全運航を守り抜くことで、JALグループを世界で一番お客さまに選ばれ、愛される航空会社にすることをここに誓います」と宣誓をした。
プレッシャーは自分の力以上を出すチャンス
赤坂社長に続き、33グループ31人の社長からも新入社員に向けたエールが送られ、さらにスペシャルゲストとして、2018年1月にJALの所属選手として契約している空手・植草歩選手からも、エールとともに空手の披露が行われた。
植草選手は今でこそ、「オリンピックの金メダルに一番近い選手」と言われているものの、勝ち続けることができなかった時代があり、空手をやめることも考えたという。そんな中、空手がオリンピックの正式種目になり、「オリンピックで金メダルをとります」と宣言することで注目され、その期待が植草さんの力になった。
「私は期待されることで、自分が持っているもの以上の力を発揮することができます。私が今、勝ち続けているのは(優勝した)世界選手権でのみなさんの応援やサポートのおかげです。これからも日々の努力をし、みなさんからの応援を力に、東京2020オリンピック大会で金メダルを目指します。オリンピックまで世界トップでい続けるために、新たな挑戦が必要だと強く思います。失敗を恐れず、挑戦の姿勢を貫き、日本航空の一員として成長し続けていきます。
みなさんもこれから新しい環境へ挑戦されると思います。日々の努力が必ず挑戦を後押ししてくれます。また、たくさんの期待がプレッシャーに感じる時は、自分の力以上を出すチャンスだと思ってください。それぞれフィールドは異なりますが、仲間として一緒に頑張っていきましょう」(植草選手)。
植草選手に続き、JALがサポートするカーリング女子代表やゴルフ・宮里藍選手、野球・大谷翔平選手からも、ビデオメッセージでの応援が送られた。大谷選手からは、「メジャーリーグの舞台で自分を信じ、サポートしてくれる仲間を信じ、新しい世界で挑戦しようと思います。そして、夢・感動を与えられる選手になろうと思います。お互いに、素晴らしい人生にできるように頑張りましょう」というメッセージが送られた。
JALでの夢を唱えながら「TAKE OFF」
式典の最後には、新入社員人と赤坂社長が一緒になっての人文字コレオグラフィーを実施。巨大な鶴丸とともに、明日の空へ大きく羽ばたくをことを誓っての「TAKE OFF」が描かれていた。
続くJAL恒例の折紙ヒコーキでは、JAL初のアスリート採用となる、山本凌雅さん(陸上競技選手・三段跳び/順天堂大学)と、土井杏南さん(陸上競技選手・短距離/大東文化大学)のふたりの選手が掛け声を担当。先輩たちからのメッセージが寄せられた折紙ヒコーキを手に、そして、それぞれの夢を胸にして一斉に羽ばたかせた。
新しい仲間を迎え入れた入社式を終え、赤坂社長は「ホームで開幕で初勝利という感覚ですね。これからのJALではまずなによりも、事故を絶対起こさない。まだまだやれることはたくさんあります」と述べた。入社式を終えた格納庫では、各グループ会社別の辞令交付が行われた。その中でもひときわ華やかなだったのは、グループ最大となる586人(男性116人/女性470人)の新入社員を迎え入れたJALの輪だった。格納庫の様々な場所から拍手と歓声、そして、格納庫内いっぱいに響き渡る決意の宣誓が沸き起こっていた。
Read Again https://news.mynavi.jp/article/20180402-jal/
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