[東京 24日 ロイター] - 公正取引委員会は24日、親和銀行を傘下に置くふくおかフィナンシャルグループ(FFG)(8354.T)と長崎県を地盤とする十八銀行(8396.T)の経営統合を承認すると正式発表した。長崎県における新銀行の貸出シェアが7割超に上ることを問題視した公取委に対し、両社は1000億円弱の貸出債権を他の金融機関に譲渡してシェアを引き下げると報告。これにより、公取委は競争環境が保たれると判断した。
FFGと十八銀は2016年2月に統合で基本合意。公取委の承認が得られず、17年7月に統合時期を無期限延期としていたが、今回の承認で19年4月に統合することを決めた。
公取委は、長崎県内の中小企業向け貸し出しで、新銀行が7割超のシェアを占めることになり、県外からの参入も見込めず、実質的に競争を制限すると分析。対馬など離島地域では新銀行がほぼ独占状態になるため、両社に対してシェア低減のための措置を講じるよう求めた。
両社は、債権譲渡のほか、貸出金利のモニタリング、公取委への定期的な報告を行うと公取委に申し出た。公取委は、債権譲渡で長崎県内の中小企業向け貸し出しシェアが約75%から約65%に低下し、債権を譲り受ける金融機関の中にはこれを契機に営業を活発化し、取引拡大を目指す金融機関が複数存在すると評価。一連の対策を実行すれば、長崎県における金融機関の競争を実質的に制限することにはならないと判断した。
会見した公取委の深町正徳企業結合課長は、債権譲渡について「借り手の希望で行ったものであり、軽々に当事会社に戻ることはない」と述べ、公取委の承認を得るための一時的措置との見方を否定した。
譲り受ける金融機関の意欲についても、統合計画公表後のその金融機関の取り組みと今後についての意向を総合的にみて判断したという。
FFG・十八銀は公取委に対し、コミットした額の債権譲渡が統合実施までにできなければ、統合後1年以内に追加で債権譲渡を行うと約束。1年以内の追加譲渡ができなければ、公取委は排除措置命令を出すか検討する。
将来にわたり、長崎県経済の発展に貢献する――。FFG・十八銀は統合の目的をこう掲げた。人口減、低金利の持続と収益環境が厳しい中で、統合効果を早期に利用者に還元できるかが問われそうだ。
*内容を追加します。
和田崇彦
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