[1日 ロイター] - 米アップル(AAPL.O)は1日、年末商戦を含む第1・四半期(10─12月)の売上高が890億─930億ドルになるとの見通しを示した。見通しの中間値(910億ドル)は、リフィニティブがまとめた市場予想の930億ドルを下回った。
クック最高経営責任者(CEO)は慎重な見通しについて、新興国市場の弱含みや為替相場の影響、新製品の生産が需要に対応できるかを巡る不透明性を反映したと説明した。
アップルの株価は引け後の時間外取引で7%下落。1兆ドル超(1日引け時点)の時価総額から約700億ドルが吹き飛んだ。
幹部らが今後は「iPhone(アイフォーン)」、「iPad(アイパッド)」およびマック製品の販売台数を発表しないと明らかにしたことを受け、株価は下げを加速した。投資家は販売台数に注目している。
合わせて発表した第4・四半期(7─9月)決算は、売上高が629億ドル、1株利益が2.91ドルでともに市場予想を上回った。市場予想は売上高が615億ドル、1株利益が2.79ドル。
クックCEOはロイターとのインタビューで、為替相場の影響は売上高を20億ドル下押しする見通しとした。
また、アイフォーンや「Apple Watch(アップルウオッチ)」、アイパッドなどの新製品の生産が需要に追いつくか不透明であることも明らかにした。
アップルはアイフォーンやアイパッドへの顔認証ロック解除システムの利用を拡大しているが、同技術に使用される特殊なレーザーを生産するサプライヤーはまだ少ない。
クックCEOは「新興国市場の一角でマクロ経済が軟調となっていることを確認している」と語った。その後、投資家らに対し、弱い市場にはブラジルやインド、ロシア、トルコが含まれていると説明した。
エラザー・アドバイザーズのアナリスト、チャイム・シーゲル氏は、中国を巡る通商問題が原因でアップルが必要な供給を受けるのが難しくなっている可能性を指摘。「新興市場の減速もまた、中国から波及している問題だ。貿易戦争絡みの両問題が現実のものになっている」と語った。
ただ、クックCEOは中国での同社の業績には満足していると強調した。第4・四半期の中国での売上高は前年同期比16%増の114億ドルと、5四半期連続で2桁台の伸びを記録した。
アップルの慎重な見通しは、株式市場の年初来の上昇分の大方を消失させた投資家の懸念を再燃させる可能性がある。アップル株は、米著名投資家ウォーレン・バフェット氏の保有拡大や1000億ドルの自社株買いに支援され、1日引け時点で年初来25%超上昇。一方、ナスダック総合は年初来ほぼ横ばいとなっている。
アップル株に投資しているガレーン・キャピタル・パートナーズのマネジングパートナー、トリップ・ミラー氏は「アップルは常にガイダンスにかなり慎重だとみられる。今回もそうであることを願う」と語った。
第4・四半期のiPhone販売台数は4690万台で、ファクトセットのまとめたアナリスト予想の4750万台を下回った。ただ、販売価格は793ドルで、予想の750.78ドルを大幅に上回った。
アイクラウドやアプリ販売の「アップストア」、音楽配信「アップルミュージック」などのサービス事業の売上高は100億ドルに達し、アナリストの予想と一致した。
アップルはまた、10─12月期の税率について16.5%と予想。リフィニティブのデータによると、アナリストの予想は15.9%。
2018年度の売上高は2656億ドル、1株利益は11.91ドルで、アナリストの予想(売上高2640億ドル、1株利益11.79ドル)を上回った。
*情報を追加します。
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