2018年11月20日火曜日

ゴーン会長逮捕 報酬50億円過少記載容疑 日産「私的流用」解任へ 東京地検特捜部

2015年度決算を発表する日産のカルロス・ゴーン社長(当時)=横浜市神奈川区で2016年5月12日、徳野仁子撮影
日産自動車代表取締役のグレッグ・ケリー容疑者=共同

 実際より少ない報酬額を有価証券報告書に記載したとして、東京地検特捜部は19日、日産自動車会長のカルロス・ゴーン(64)▽同社代表取締役のグレッグ・ケリー(62)両容疑者を金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いで逮捕し、横浜市の本社やゴーン会長の自宅マンションなどを捜索した。特捜部は2人の認否を明らかにしていない。

内部通報、端緒

 逮捕容疑は、2人は共謀し2015年6月までの4年間で5回にわたって、関東財務局に対し、11年3月期~15年3月期の各連結会計年度のゴーン会長の報酬額が計約99億9800万円だったのに、計約49億8700万円と記載した虚偽の内容の有価証券報告書を提出したとしている。

 日産は19日夜、「株主の皆様をはじめとする関係者に、多大なご迷惑とご心配をおかけすることを深くおわびする。早急に企業統治上の問題点の洗い出し、対策を進めていく」とのコメントを出した。

 その後、西川(さいかわ)広人社長が記者会見して陳謝。社内調査で、逮捕容疑以外にも「私的目的での資金流用」と「経費の不正使用」が判明したと説明し、22日にゴーン会長とケリー代表取締役の解任を取締役会に提案するとした。

 日産は内部通報を受け、数カ月間の調査を行った結果、不正を把握。特捜部に情報提供を行い、捜査に協力しているという。西川社長は第三者委員会の設置を表明し「ガバナンスの見直しにつなげたい」とした。

 ゴーン会長は1999年に日産の最高執行責任者(COO)、01年に社長兼最高経営責任者(CEO)に就任し、08年から会長も兼任。同社を経営危機からV字回復させた「日産リバイバルプラン」で中心的役割を果たした。

 ケリー代表取締役は88年に北米日産に入社。08年に日産執行役員、12年に代表取締役に就任した。

 三菱自動車は19日、ゴーン会長が兼務している同社の会長職の解任を取締役会に提案すると発表した。日程は未定。同様の不正がないか社内調査も行う。【巽賢司、遠山和宏、金寿英】

10億円超に「高給」批判

 日産自動車の2017年度の有価証券報告書には、ゴーン容疑者が7億3500万円の役員報酬を受け取ったと記載されている。会長を兼務する三菱自動車の報酬は2億2700万円、ルノーの17年の報酬は740万ユーロ(約9億5000万円)で、計約19億円に上った。

 ゴーン会長が日産から受け取る報酬は、上場企業の高額報酬ランキングにたびたび登場し、話題を集めてきた。

 日本では09年度から1億円以上の役員報酬の開示が義務づけられており、調査会社の東京商工リサーチによると、ゴーン会長は09年度(8億9100万円)、10年度(9億8200万円)、12年度(9億8800万円)の3回、国内最高額を記録。14~16年度は3年連続で10億円を突破したが、順位は5~9位に後退した。17年度の報酬は前年度比3割減となり、順位も18位に下がった。日産は17年度の減額について「17年4月に社長を退いて会長に専念したため」と説明していた。

 日産は役員報酬の総額の上限を、株主総会で決議された29億9000万円とし、個々の役員の報酬は「業績に対する貢献」に基づいて決めている。社外取締役らが役員報酬を決める「委員会設置会社」の仕組みは導入していない。

 ゴーン会長は経営手腕を高く評価される一方、株主総会では「報酬が高すぎる」との批判を受けていた。これに対し、ゴーン会長は欧米有力企業と比べ「決して高くない水準」と強調していた。【松本尚也】


日産が公表したゴーン会長の役員報酬

2013年度  9億9500万円

  14年度 10億3500万円

  15年度 10億7100万円

  16年度 10億9800万円

  17年度  7億3500万円

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