2018年11月22日木曜日

日産 ルノーとの統合に危機感…ゴーン容疑者、内部告発の引き金?“二枚舌”に社内不満増幅か

逮捕された日産のカルロス・ゴーン容疑者
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 金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いで逮捕された日産自動車会長のカルロス・ゴーン容疑者(64)が、フランス自動車大手ルノーとの経営統合を近い時期に検討していたと20日、英紙が報じた。以前から日産内では、ゴーン容疑者の経営に対する不満が強く、統合の動きを加速させたことが、今回の逮捕につながる内部告発を呼んだ可能性がある。

 英紙フィナンシャル・タイムズ電子版によると、ゴーン容疑者は自身が会長兼最高経営責任者(CEO)を務めるルノーと日産の経営統合を逮捕前に検討。関係者によれば、数カ月以内にも行われる見通しだったという。

 両社の経営統合は、ルノー筆頭株主の仏政府が求めてきた。統合に対し、ゴーン容疑者はこれまで日産側には慎重に、ルノー側には前向きな姿勢を見せてきたようだ。日産とルノーをてんびんにかけ“二枚舌”を使っていたことになる。

 今年で任期切れの予定だったルノーCEOを2022年まで務めることが決まったが、留任条件として仏政府は「ルノーと日産の関係を後戻りできない不可逆的なものとする」と注文を付け、受け入れたとの報道もある。

 今年10月初旬、ゴーン容疑者はパリでのインタビューに、三菱自動車を含めた3社連合の資本構成見直しに関して「今は根回しの段階だ」と説明していた。

 日産内では、今年に入ってからゴーン容疑者が仏でルノーに“寄り添う”ような動きをしていることに「日本市場を軽視しているのか」と懸念する声が上がっていた。内部では破綻の危機を脱した経営手腕を評価する一方で、「現場の意見が上層部に届かない」などの不満も高まっていた。

 今回の内部告発は、統合への動きを察知した“反ゴーン派”の危機感と、トップダウンのゴーン容疑者への不満が重なり引き金となった可能性がある。

 批判が強まっていた巨額報酬は、50億円もの過小記載で逮捕されたが、逮捕容疑の5年分(2011〜15年)とは別に、直近3年間の報酬も少なく記載していたとみられることも分かった。また、日産以外にも、オランダにある子会社から毎年得ていた億単位の報酬を記載していなかった疑いも浮上している。

 東京地裁は21日、ゴーン容疑者の10日間の勾留を認める決定。日産はきょう22日、臨時取締役会を開き、ゴーン容疑者の会長職を解く。早い時期に取締役からも外すため臨時株主総会を開くとみられる。

 ゴーン容疑者の失脚が、3社連合の関係を再構築する呼び水となる可能性もある。ルノーの発言権は強く、調整は難航も予想される。

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