日産自動車のカルロス・ゴーン前会長の逮捕劇という大混乱の中、日本とフランスの主要プレーヤーは少なくとも1つの点で合意できている。それは、日産と仏ルノーの20年近くにわたる連合(アライアンス)維持の方が、それを率いてきた人物よりも重要だという点だ。
日産が22日にゴーン容疑者を会長から解任してから数時間後、ルメール仏経済・財務相と日本の世耕弘成経済産業相は、両社のアライアンスを「成功を収めている協力関係」と呼び、強力にサポートすると表明した。この立場は日産の西川広人社長兼最高経営責任者(CEO)も共有しており、前進するための最善の方法は現行の体制の安定化だと臨時取締役会後に記者団に語った。
これらの公式見解は、ゴーン前会長失脚で世界屈指の自動車グループが崩壊する事態を回避したいアライアンスの主要な利害関係者の意向を示している。ルノーと日産は何年にもわたり、アライアンスから大きな恩恵を受けており、大変革に直面して多額の資金を要する自動車業界の競争に単独で臨むことになれば、苦戦を強いられる。
アライアンスの行方が特にフランスで政治的に重要な意味を持つのは、仏政府がルノーの筆頭株主だからだ。マクロン仏大統領に近い当局者によると、仏政府はゴーン前会長逮捕をアライアンスを不安定化させるための意図的な行為とは受け止めていないという。
アライアンスにおけるルノーの影響力の大きさに日本側が不満を持っていることは周知の事実だが、これは当面の議題ではなく、現在のガバナンス(企業統治)の問題が解決するまでは見直されることはないと同当局者は述べた。ルノーは日産に43%を出資し議決権を持つが、日産はルノー株15%を保有するものの議決権は持たない。
フランス側は現実的な姿勢を示しており、ゴーン容疑者がアライアンスの要であったことを認めながらも、ルノーとフランスの産業にとっては同容疑者の個人的状況よりもアライアンスの方が重要性が高いとの立場を取っている。
ただ、仏政府は19日以来勾留されているゴーン容疑者と駐日大使を面会させるなど、同容疑者への通常以上のサポートも行っており、今回の事態を巡る政治的な利害関係の大きさを物語る動きと言える。
原題:After Ghosn, France and Japan Turn to Car Partnership He Built(抜粋)
Read Again https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-11-23/PIMCZ06S972E01
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