KDDI(au)は1日、楽天と業務提携すると発表した。スマートフォン(スマホ)決済やネット通販向けの物流で、楽天が持つインフラを活用する。携帯電話のローミング(相互乗り入れ)契約も結び、楽天が2019年秋に携帯事業に参入する際に通信設備を貸し出す。携帯市場は3社の寡占に楽天が挑む構図だったが、KDDIと楽天の提携により新たな競争の時代に突入する。
KDDIは19年4月からスマホ決済サービスの「auペイ」を始める。今回の提携で、楽天が契約する全国の120万店を中心に開拓し、加盟店を増やす。利用が広がるスマホ決済で後発のKDDIは楽天の店舗網を使うことで利用者を広げられる。決済から得られるデータが豊富になれば、それを元に新しいサービスを生むことも視野に入る。
人手不足で物流コストが上がる中、楽天は効率的な自前の物流網を構築している。KDDIはネット通販の「ワウマ」向けに楽天の物流網を活用する。
9900万人の会員基盤を持つ楽天のインフラを活用する一方で、KDDIは楽天と携帯電話のローミング契約を結ぶ。楽天は一定の使用料を支払う。携帯電話の基地局の整備にはコストと時間がかかるが、ローミング契約により楽天は開始当初から全国でサービスを提供できるめどが付く。契約は26年3月末までで、楽天はそれまでに自前の通信網を整備する。
少子化が進む国内の携帯電話事業は、大きな成長は見込みづらい。インフラの投資や維持にコストがかかり、通信事業はこれまでのような高収益が期待しづらい転換期を迎えている。携帯料金の値下げ圧力も高まる中、各社は通信を利用した金融サービスやネット通販などサービス事業で競う構図になっている。
NTTドコモも会員基盤を軸にした通信以外の分野を収益源として育てるほか、ソフトバンクは人工知能(AI)を活用した企業向けサービスなどに力を入れる。KDDIは、サービスの分野で先行している楽天と組むことで、非通信の分野を強化する。1日に記者会見した高橋誠社長は「これまでモバイルが成長をけん引してきたが、これからは通信を中心に付加価値を伸ばすことが成長につながる」と述べた。
楽天は当初、ドコモとローミング契約することを検討していたが、互いの事業で相互補完ができるKDDIを選んだもようだ。高橋社長は「昔はインフラ競争だったが、プラットフォームでビジネスを創出する時代。共通コストはできるだけ安くしたい」と述べた。
菅義偉官房長官が「携帯電話の料金は4割程度下げる余地がある」と述べたことについて、高橋社長は「4割が何か不明確。(当社は17年7月に)端末と通信の分離プランを出し、通信料金は(既に最大3割)下がった」との考えを示した。
一方、今後もさらに「料金プランの低価格化、シンプル化を積極的に進める」と言明。ドコモが19年度から2~4割引き下げると表明した件についても「同じ規模の値下げで追随することにはならない」とし、一段の値下げについては含みを残した。ただ「(10月31日に値下げを表明し、19年度以降に大幅な減益予想を発表した)ドコモのように当社は減益にはしない」と語った。
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