2017年10月31日火曜日

日産、10月の登録車販売は5割減 国内6工場、生産再開急ぐ

 日産自動車は31日、10月の国内の新車販売が前年同月比5割減の水準になりそうだと明らかにした。無資格検査問題への対応のため、国内に6つある全ての完成車工場で国内向け車両の出荷と生産を止めたのが響いた。日産は早期の生産再開に向け、11月3日までに各工場で再発防止策の導入を終える考えだ。

 日産は9月29日に資格を持たない従業員が新車の完成検査に従事しているのが見つかったと発表した。その後も複数の工場で不正が続いたことから、10月20日までに追浜工場(神奈川県横須賀市)など国内6つの完成車工場で国内向け車両の出荷と生産を停止し、再発防止策を徹底すると表明していた。

 全国に約2100ある日産系列の販売店への新規の車両供給もストップした。各販売店では新車の受注活動は続けているが、在庫がない車については顧客に納期を伝えられない状態が続いている。10月2日に発売したばかりの主力電気自動車(EV)「リーフ」の大型試乗会などの店頭イベントは全て自粛した。

 2016年11月に発売した小型車「ノート」のヒットなどで、軽自動車を含む日産の国内販売は17年9月まで11月連続で前年実績を上回っていた。軽については三菱自動車に生産を委託しているため今も出荷は続いているが軽を含めても10月は12カ月ぶりに前年実績割れとなる見込みだ。

 日産では生産再開に向けた再発防止策の導入を急ぐ。グループの日産自動車九州(福岡県苅田町)の工場では31日までに完成検査工程を柵で囲って有資格者だけが出入りできるようにするなどの対策を終えた。国土交通省は11月1日に同工場に立ち入り検査する。

 日産はそのほかの5工場でも遅くとも11月3日までに同様の対策を完了する予定で、国交省は順次、立ち入り検査を実施する方針だ。完成検査工程がルール通りに運用されていることが確認されれば出荷再開となる見通しだ。

 日産は国交省の立ち入り調査で指摘されるまで不正を発見できなかった内部監査体制にも問題があるとして、完成検査工程が正しく運営されているかどうかを1日に複数回確認するなどチェック機能の強化も再発防止策に盛り込んだ。コンプライアンス(法令順守)意識を徹底させるため、全従業員を対象とする研修も継続的に実施する。

 国交省は日産の再発防止策を厳しく審査する方針で、国内向けの生産再開がすんなり認められるかどうかはなお不透明だ。野村証券の桾本将隆アナリストは「2週間の出荷停止で販売は2万台、営業利益は100億円程度の影響が出る」とみている。生産停止が長引けば業績にとっても打撃となる恐れがある。

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