フランスにある円柱状の分銅が国際的な基準になっている単位「キログラム」の定義が約130年ぶりに見直され、基礎物理定数を使った新たな定義が採用される見通しになった。産業技術総合研究所(茨城県つくば市)は物理定数の精密な計測に成功し、新たな定義の策定に貢献した。早ければ来年11月の国際会議で、新定義への移行が決まる。
社会生活に影響はないが、誤差が生じにくくなり、新薬の開発などに必要な微細な質量の計測がより正確にできる。
1キログラムは現在、フランスにある白金イリジウム製の分銅「国際キログラム原器」が基準となっている。だが分銅は汚れの付着などによる誤差が避けられず、光が持つエネルギーの最小単位で、電子や原子の質量の計算に使える「プランク定数」を新たな基準にすることになった。プランク定数が分かれば、電子などの量から質量を精密に測ることができる。
産総研はレーザーなどを使って、純度の高いシリコン結晶の密度を精密に測定。正確なプランク定数を求めた。生じ得る誤差は24マイクログラムで、キログラム原器で生じ得る誤差50マイクログラムより小さかった。
新たな定義は、各国で測定された八つの値の平均から導かれるが、産総研は独自測定を含め四つの値の測定に関わった。倉本直樹主任研究員は「重要な単位の定義につながるデータに日本も寄与できた」と強調した。(2017/10/28-14:58)
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