ニコンは30日、中国のデジタルカメラ工場を同日をもって操業停止とする発表した。操業の継続は極めて困難だといい、このまま閉鎖に至るものとみられる。
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同工場は主にコンパクトデジタルカメラと一眼レフ用交換レンズを生産していたが、コンパクトデジカメの売り上げ不振を受け、生産拠点を仙台の国内工場と、タイの工場に集約することになった形だ。なお、中国工場は撤退するとはいえ、販売拠点としての同国はなおも魅力的であり、現地でのニコン製品販売は継続される。
中国工場を運営する子会社、Nikon Imaging (China) は2017年9月末時点で従業員数が2,285名。2016年の総生産数は175万台。しかし、ここ数年だけで見ても、生産規模は急落していた。工場閉鎖による経費の削減は、累計で100億円ほどになるという。
コンパクトデジタルカメラの不振の元凶はごく簡単で、スマートフォンが台頭したためである。一眼レフなどの本格的なカメラはともかく、カジュアルユース程度なら(格安の機種さえも含めて)スマートフォンのカメラが十分な性能を持つようになってしまった現状の前に、安価なデジタルカメラはほとんど駆逐されかかっているのだ。
カメラ映像機器工業会(CIPA)のデータによれば、2008年に1億台を数えていたデジタルカメラの出荷台数は、その後右肩下がりの激減を続け、特にコンパクトデジタルカメラの低下が著しい。一方、レンズ交換式カメラに限って数えれば、2008年より2016年の方が出荷台数は増加している。
ちなみにニコンは、2016年から構造改革を継続中であり、同年11月には国内で1,000人の人員削減を発表している。いくつかの事業は終了され、主力のカメラも製品を絞り込む。中・高級カメラに重点を置き、これらの販売を強化していく構えだ。なお、構造改革は2019年3月末まで続けられる計画となっている。
カメラメーカーとしては高いブランド力を持つ同社であるが、今後も苦しい舵取りが続くことになりそうだ。(藤沢文太)
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