東京ガスは26日、電力の小売り販売の申込件数が100万件を突破したと発表した。2016年4月に新規参入し、当初は18年3月を目標としていたが、5カ月前倒しでスピード達成した。新電力では断トツだ。グループ会社などによる家庭への戸別営業や自前の発電所を東京湾に持つ優位性をいかんなく発揮した。ここに来てさらに追い風も吹く。政府は大手電力にもっと電力を市場に出すように求める方針で、新規参入者は電力を調達しやすくなる。東ガスの“順風満帆”がどこまで続くかに注目が集まる。
東ガスは各地域で保安を担当するグループ会社「ライフバル」「エネスタ」を全面的に活用した。ガスの安全検査で訪問した際に東ガスへの切り替えを勧める対面販売を展開。申込件数100万件のうち7割はこの成果だという。広瀬道明社長も陣頭指揮をとり、消費者との接点が多いという他の新規事業者にない強みを生かした。
東京湾を中心に出力160万キロワットの発電所を保有しており、安く電力を調達できる。石油元売りのJXTGホールディングスも発電所を167万キロワット分保有し、安い料金プランを提供しているが、申込件数は約27万件と東ガスに差を付けられている。東ガスとの営業力の差が表れた格好だ。
東ガスは26日、給湯器やコンロ、水回りのトラブルに対応する付帯サービスを拡充するほか、セコムと提携して救急駆けつけサービスも投入すると発表。20年度に申込件数220万件を目指す。
電力の競争をさらに促進するため、経済産業省が東京電力ホールディングスなど大手電力に対し、予備で持つ電力を卸売市場に販売するよう求めることも明らかになった。大手電力のように豊富に発電所を持たない新電力でも、小売りにまわす電気をより手に入れやすくなると期待される。
26日、記者会見した東ガスの奥村栄吾・リビング営業計画部長は「新電力からすれば競争が促進され、安価な電力が手に入るので歓迎したい」と話した。
東ガスは100万件突破によって顧客件数で沖縄電力を抜き、次の20年度目標の220万件を達成できれば北陸電力も抜く。「大手電力」の一角に着実に食い込むが、東ガスの主力の都市ガス事業も17年4月に小売りが自由化され、こちらでは守る立場に回った。まだまだ電力事業で攻めの姿勢を弱めるわけにはいかない。
(花房良祐)
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