【ニューヨーク=清水石珠実】ソフトバンクグループが傘下の米携帯電話4位のスプリントと同3位のTモバイルUSの経営統合に向けた協議を打ち切る方針を固めたとの報道を受け、30日の米株式市場でスプリントとTモバイル両社の株価が大幅に下落した。経営統合によって競争力が高まるとの期待が後退し、投資家の失望売りが膨らんだ。
スプリント株の終値は6.34ドルと、前週末比9.3%下落。一時は6.05ドル(13.4%安)まで値を落とす場面もあった。また、Tモバイルも終値59.58ドルと、5.4%下落した。
日本経済新聞(電子版)は30日(米東部時間)、ソフトバンクが31日にもTモバイル親会社の独ドイツテレコムに対して協議中止を申し入れる見通しだと報じた。スプリントとTモバイルは経営統合の方針で大筋合意していたが、統合後の新会社で共に筆頭株主になることにこだわったため、最終局面で折り合いがつかなかったという。米メディアでは、米規制当局が2社の統合に難色を示していることが足かせになったとの報道もある。
スプリントは米携帯電話業界で4位の立場にあるが、契約者数と資金力で米ベライゾン・コミュニケーションズと米AT&Tの「2強」との差は大きい。Tモバイルとの統合には、2強に対抗できる顧客規模を確立し、次世代通信網の構築への投資などを効率化する狙いがあった。
ソフトバンクは2013年にスプリントを買収して米携帯電話市場に参入した。14年にも2強に対抗する「第3勢力作り」を目指してTモバイル買収を試みたことがあるが、オバマ前政権下の規制当局の反対で断念した。今回の統合交渉も頓挫すれば、再びスプリントは単独で再建に臨むことになる。
ただ、規模が競争力強化に直結する米携帯業界では、2社の統合に対する期待は依然として高い。
米調査会社モフェットナザンソンの著名通信アナリスト、クレイグ・モフェット氏は「2社統合の可能性が完全になくなったわけではない」とみる。統合観測を背景に高値圏で推移してきたスプリントの株価が修正されれば、再び交渉機運が高まる公算が大きいとの見方と示した。
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