スプリントとTモバイルUSの合併交渉でソフトバンクグループが優位な立場にあるわけではないということを、誰かが同社取締役会にくぎを刺してはどうだろうか。
スプリント株の84%を保有するソフトバンクは、統合後会社の支配権をTモバイル親会社のドイツテレコムに握らせるかどうかで揺れていると報じられた。この報道を受けて30日の米株式市場ではスプリント株が急落、一時13%安まで下げ幅を広げた。
投資家はソフトバンクの戦略に困惑している。スプリントの先週の決算発表では、四半期赤字がなお続いていることが明らかになり、顧客獲得のための不利益な試みと資金流出を止めるためにTモバイルとの合併がいかに重要かを浮き彫りにした。米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)によると、経営統合しない場合のソフトバンクの代案はスプリントのネットワークへの多額投資という。
ソフトバンクの態度急変はより有利な条件を引き出そうとする作戦かもしれないが、交渉戦術としていかがなものか。これまで、ソフトバンクは合併合意を確実にするため支配権譲渡にオープンな姿勢だと報じられてきた。Tモバイルも統合を必要としているが、スプリントほど必要に迫られてはいない。時価総額がスプリントの約2倍のTモバイルが今回の交渉で強い立場にあるのは明らかで、ドイツテレコムが支配権を要求するのは当然だろう。
ソフトバンクの創業者である孫正義会長はスプリントを何とかしようと、過去数カ月には米資産家のウォーレン・バフェット氏やジョン・マローン氏にも接触した。だが、マローン氏が出資している米チャーター・コミュニケーションズからは「ソフトバンクにとって魅力的な理由は理解するが、チャーターはスプリント買収に関心はない」と言われ、道は閉ざされた。一方、Tモバイルとの交渉行き詰まりでスプリントは米衛星テレビ会社ディッシュ・ネットワークに歩み寄るとの観測から、ディッシュの株価は急伸。しかし、スプリントにとって最高のパートナーはやはりTモバイルだろう。
スプリントの財務問題という頭痛の種を取り除きたいと切に望むなら、孫氏とソフトバンク取締役会はゲームをやめなければならない。統合後会社の支配権を譲れば、孫氏の優れた交渉力に汚点を残すことになりかねないが、スプリントに残されたパートナーがいなくなる前に、同社の損失をソフトバンクは食い止めなければならない。
(このコラムの内容は必ずしもブルームバーグ・エル・ピー編集部の意見を反映するものではありません)
原題:SoftBank Should Stop Playing Games With Sprint Talks: Gadfly(抜粋)
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