今回の不正も前回と同様、舞台は完成検査時の燃費・排出ガスの測定だ。4月に出した国交省への報告書では、得られた測定値を検査員が都合よく書き換えたことに対する調査と対策をまとめたというもの。抜き取り検査を繰り返す間に生じる基準範囲に収まらない測定値の書き換えた。報告書の中では「同基準値を達成するように測定値を書き換えるよう(検査員が先輩から)指導されており、その指導に従って測定値の書き換えを行っていた」ものだが、動機が解明されなかった。同社は「測定値のバラつきについて係長および課長から指摘を受けるのを避けたい等の理由」で、幕引きを図ろうとした。
それを許さなかったのは、報告書を受けて国土交通省が行った立入検査だ。関係者へのヒアリングで、不正が行われたのは測定値の書き換えだけでないことを知り、同社に確認を求めた。その結果、浮上したのが今回の不正問題だ。
燃費・排出ガスの測定を行う環境は、その要件が法令で定められている。車両をシャシーダイナモ(検査台)に載せて「JC08モード」の速度パターンで加減速を繰り返しながら約20分間、走らせる。さらに、その測定は、湿度30~75%の範囲の測定室で実施されなければならない。
しかし、同社の完成検査では、その速度パターンを逸脱するトレースエラーと測定室の湿度エラーがあったにも関わらず、有効な測定とみなして品質管理を行っていた。その件数が延べ934件(903件と31件)。そもそもこうしたずさんな品質管理が行われているのが不正だ。大崎篤常務執行役員は言う。
「一件もあってはいけない。信じられない数字だと思う」
ただ、この不正問題は、前回の測定値の書き換えとまったく無関係とは言えない。測定値を書き換えた車両と測定方法が不正だった車両が少なからず重なっているのだ。
測定室でトレースエラーと湿度エラーが出た状態で排出ガス測定が行われた車両927台の179台は、測定値が書き換えられた。また燃費測定では516台の137台で、測定値が書き換えられたことを、同社は明らかにしている。
「データをよく見せたかったのか。なぜトレースエラーしたものを正規のデータとして採用したのかは、これからの調査で明らかにしていく」(大崎氏)とするが、定められた測定方法を取らなかったため測定値が基準内に収まらず、やむなく書き換えた可能性は高い。同社は今後、こうした背景について社外専門家による調査を行うが、吉永泰之社長はその原因をこう分析する。
「現場に無理を押し付けたというより、販売台数がここ数年で伸びて、そのことにより現場の負荷が増えたことはあるが、仕事のやり方が古すぎる。昭和のやり方をそのまま続けていて、今の時代の中で近代的な仕事の進め方になっていないことがより本質的な課題だと思っている。日々の改善が進められていなかった」
Read Again https://response.jp/article/2018/06/05/310532.html
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