大塚家具の大塚久美子社長(写真:Natsuki Sakai/アフロ)
『大塚家具、自力再建困難に、身売り交渉大詰め』
こう題する8月3日付「日経ビジネスONLINE」記事が、大塚家具の身売り騒動の火付け役だ。
「これまでに同業のみならず、アパレル、建材、商社、投資ファンドなど数十社に及ぶスポンサー候補と交渉に臨んだが、合意には至っていない。減資した後の第三者割当増資や、久美子社長の退陣などを支援条件に挙げる企業があるもようだが、大塚家具側は、こうした条件に難色を示しているとみられる」(同記事より)
各メディアが一斉に大塚家具の“受け皿”探しに走り出した。8月4日付朝日新聞記事『大塚家具、身売りへ 提携先のTKP軸に最終調整』は次のように報じている。
「昨年11月に資本・業務提携した第3位株主の貸し会議室大手、ティーケーピー(TKP)が増資を引き受け、経営権を握る方向で最終調整に入った。(中略)取引銀行は家電量販大手ヨドバシカメラによる子会社化を提案しており、交渉の行方には流動的な面も残る」
「大塚家具は6月以降、家電量販店や百貨店など複数の流通大手のほか、企業再生ファンドなどに支援を打診してきた。その中から、大塚家具に6%強を出資するTKPが第三者割当増資により過半の株式を取得する案が有力となった。中国の高級家具メーカーからの出資受け入れも一時、検討されたという」
TKP、ヨドバシカメラという具体的な社名を報じたのは朝日が初めてだ。
「ただ、TKPの2018年2月期の売上高は286億円と大塚家具より小規模で、経営再建の手腕も未知数だ。一方、取引銀行は、住宅関連事業の強化をねらうヨドバシカメラによる支援を提案している」(同記事より)
朝日新聞は同日付経済面に『「久美子流」成果出せず』という4段見出しの記事を掲げた。完全にスクープの扱いである。
大塚家具の創業者、大塚勝久氏(75)が8月5日付朝日新聞のインタビューに応じた。長女の大塚久美子社長(50)と繰り広げた委任状争奪戦に敗れ、大塚家具を離れて3年。会社が身売りを検討していることに、「驚きました。大変なショックです」「社員や取引先に申し訳ない」と語った。TKPが増資引き受けを検討していることに関して「TKPの資金力は十分でしょうか。TKPが大塚家具を連結対象にしたら、大塚家具の赤字によってTKPの連結決算も赤字にならないだろうか」と懸念を口にした。
経営陣と取引銀行のバトル
大塚家具の“受け皿”選びは、経営陣と取引銀行のバトルの様相を呈している。大塚社長ら経営陣は、大株主のTKPによる追加出資を検討している。TKPは大塚家具と17年11月に資本・業務提携し、6.65%を出資した。大塚家具の店舗の余剰スペースでTKPがイベントホールを運営するなど協業を進めている。
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