2018年10月27日土曜日

中国企業、半年で撤退通告 和歌山市の「シェアサイクル」

 複数の場所で自転車を借りたり返したりできる「シェアサイクル」事業で和歌山市が提携し、運営を任せてきた中国企業「ofo(オフォ)」が突然、今月末で撤退すると市側に通告してきた。今年3月のスタート時には尾花正啓市長が自ら自転車に試乗し、アピールしていた肝いり事業。「経営戦略上(の問題)だ」とだけ説明し、半年で撤退を決めた中国企業の対応に市の担当者も戸惑いを隠せず、事業は存続の危機に立たされている。(尾崎豪一)

通告は突然に

 「今月末にサービスを終えることになりそうだ」。今月18日、ofo担当者からの突然の一報に市政策調整課の担当者は青ざめた。具体的に尋ねようとしたが、ofo担当者は「本社と話して、また連絡する」と返事を濁された。

 24日、今月末でサービスを終了すると市にメールが届いた。理由を尋ねると「経営戦略上(の問題)だ」とだけ説明された。

 課によると、それまでも担当者間でやりとりは続けてきたが、市内のシェアサイクル利用状況などはofo側が管理。利用者の個人情報にも関わるため、市側は実績を把握できていなかったのが実状だ。

 市幹部は「(撤退に)驚いている。日本で事業が成り立つかという点で、利用状況が悪いとofo側が判断したのだろう」と落胆まじりに推測する。

「経営危機」報道も

 今年3月の事業スタート時には、和歌山城を舞台にofoと市の締結式が華々しく開かれた。尾花市長が自ら自転車に試乗し、晴れやかな表情で西の丸広場を数周してアピール。「公共交通と連携してシェアサイクルを活用し、観光地がたくさんある和歌山市を堪能してもらいたい」と利用を呼びかけていた。

 この市長肝いり事業は、外国人観光客のニーズに応え、公共交通機関の利用増も期待できると、市が昨年度、事業者誘致に着手。複数の事業者に呼びかけ、今年初めに唯一名乗りを挙げたのが中国企業のofoだった。

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