2018年11月4日日曜日

パイロットの飲酒問題 危機感持って再発防止策を急げ

社説

パイロットの飲酒問題 危機感持って再発防止策を急げ

2018年11月4日(日)(愛媛新聞)

 日航の男性副操縦士が、ロンドンで乗務前に、呼気から基準値を超えるアルコールが検出されたとして現地の警察当局に逮捕された。全日空グループでは男性機長の飲酒の影響で国内線のダイヤが乱れるトラブルが起きている。相次ぐパイロットの飲酒は、重大事故につながりかねない由々しき事態だ。

 パイロットのアルコール検査は法で義務付けられておらず、航空各社の自主性に任せられている。問題を受け、国土交通省は、検査の義務化や基準値の新設の検討に着手する。実効性の担保には複数の目による確認などチェック態勢の充実や、研修や指導による規範意識の醸成も欠かせない。空の安全を守るため、国や航空各社は、危機感を持って再発防止策を講じなければならない。

 日航の副操縦士は、ヒースロー空港で同社のアルコール検査を受け、異常なしの結果が出ていた。その後、空港内で航空機まで移動する際、バスの運転手がアルコール臭に気付いた。警察の調べで、英国の基準の10倍の数値が検出された。副操縦士は、前日からワイン2本と缶ビール5本を飲んだと説明しており、同社の検査を不正にすり抜けた疑いがある。

 検査は、アルコール濃度が基準を超えると赤色のランプが点灯するタイプの機器が使用されていた。異常は確認されておらず、ともに搭乗予定だった2人の機長は、副操縦士の機器の不正な操作や、アルコールの影響には気付かなかったという。なぜ、検査をすり抜けたのか不明な点が多く、原因究明を急がねばならない。

 日航は、自主的な取り組みとして、アルコール検査をパイロット同士で行っていた。ただ、ほかの会社では別の社員を立ち会わせたり、乗務前日に飲めるアルコールの量の目安を具体的に示したりする例もあり、航空各社でばらつきが生じていた。

 米国や欧州では、法令で呼気や血液の検査の基準を設けている。日本の取り組みは遅れていると言わざるを得ない。飲酒運転が道交法で厳しく罰せられる自動車交通などを参考に、検査方法や基準値を検討することが重要だ。

 日航は、当面の対策として、数値が表示される新型の呼気検査機器の導入や、乗務開始前の飲酒禁止を現状の12時間前以降から24時間前以降に変更するなどとしている。ただ、規制の強化だけでは不十分だ。パイロットは多くの命を預かる重要な業務であると改めて認識し、法令順守や、自己管理などの教育を徹底する必要がある。

 近年の訪日外国人の増加に伴い、格安航空会社(LCC)をはじめとした新規就航や増便が相次いでいる。2020年の東京五輪を控え、さらなる増加が見込まれる中、国や航空各社は空の安全の確保を万全にしなければ、目標である「観光立国」は掛け声倒れに終わると自覚しておかなければならない。

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