SUBARU(スバル)は1日、部品の不具合で走行中にエンジンが停止するおそれがあるとして、国内外で計41万台のリコール(回収・無償修理)を行うと発表した。10月23日に「品質関連費用の計上を主要因」として業績予想を下方修正していながら、内容の公表が遅れた。同社は昨秋以降、燃費・排ガス検査などでの不正が相次いで発覚しており、経営層の説明責任も問われそうだ。
不具合があったのは「バルブスプリング」と呼ばれるエンジンのばね部品で、走行中に大きな負荷がかかると、破損してエンジンを停止させるおそれがある。国内のリコール対象は「インプレッサ」や「フォレスター」のほか、トヨタ自動車に供給する「86(ハチロク)」を含む計4車種の約10万台(2012年1月17日~13年9月30日製造)。輸出相手国の当局にもリコールを届け出る。同社には12年4月以降、国内だけでも94件の不具合情報が寄せられたが、事故の報告はないという。
スバルは10月23日、18年9月中間連結決算の業績予想を下方修正し、最終(当期)利益を5月時点の予想から301億円引き下げ、490億円になるとの見通しを発表した。だが修正理由については、大規模なリコールのための経費計上を示唆しながらも詳細を説明せず、2日後の25日には株価が終値で年初来安値まで下落した。SMBC日興証券の木下寿英シニアアナリストは、費用計上の理由が明かされなかったことで、「投資家はスバルが何を考えているか分からず、疑心暗鬼になった」と分析する。
スバルは17年10月以降、無資格従業員による完成検査や燃費・排ガスデータの改ざん、ブレーキ検査などでの不正が発覚。そのたびに経営トップらが記者会見を開き、謝罪を繰り返してきた。今回は巨額な品質関連費用の計上からリコールの公表までに9日間かかったうえ、記者会見などで説明する機会も設けず、結果的にスバルの自動車ユーザーの不安を増幅させた。
同社は「業績予想の修正は東京証券取引所、リコールは国土交通省のルールに従った結果、公表にズレが生じてしまった」と説明するが、企業統治に詳しい久保利英明弁護士は「消費者目線が欠けており、ブランドへの信用を失墜させている」と指摘する。スバルは5日に18年9月中間決算の記者会見を控え、中村知美社長ら経営陣の説明責任が問われそうだ。【松本尚也】
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