[東京/パリ 21日 ロイター] - 日産自動車(7201.T)の幹部らの話によると、グループ会長のカルロス・ゴーン容疑者の逮捕を受けて、同社は仏ルノー(RENA.PA)・三菱自動車(7211.T)とのアライアンスにおける影響力強化を目指している。日産は、現在のアライアンスが日産の規模や実績を適切に反映していないと感じているという。
ただ日産が是正を目指す一方、日仏政府は安定維持を望む姿勢を強調しており、アライアンスの強化を求めていく方針を鮮明にしている。
日産は22日午後、臨時取締役会を開催し、ゴーン容疑者の会長職と代表取締役の解職を決める見通しだ。
日産のある幹部は東京で、匿名を条件に記者団に対して、ウィンウィンの関係という当初の構想に戻る必要があるとした上で、「これまでよりも、より平等な関係であるべき」だと語った。
日産は販売台数でルノーを約60%上回るが、ルノーの日産への出資比率が43.4%であるのに対して、日産はルノーの15%株(議決権なし)を持つにすぎない。ルノーの筆頭株主は15%出資する仏政府だ。
前述の日産幹部は、ルノーの日産持ち株比率を引き下げることを検討すべきとしている。
ゴーン容疑者はアライアンス強化を目指しており、逮捕前には、仏政府の要請に基づきルノーと日産の完全な経営統合を模索していた。
仏政府高官はロイターに「ゴーン氏にアライアンス強化を求めた」と語った。逮捕については「容疑は本当なのか、アライアンスの崩壊や主導権取得を狙ったものなのか、全容を把握することは困難」とした。
仏証券会社ケプラーの自動車アナリスト、トマス・ベッソン氏は、日産が予定しているゴーン容疑者解職は「ゴーン氏が推進していた経営統合を拒否するための間接的な方法のようにみえる」と指摘している。
日本では、フランスが最終的に日産と三菱自の経営権を握るのではないかとの警戒感がある。フランスでは、同国の影響力を削ぐためにゴーン氏がターゲットにされたのではと疑う声も上がっているという。
<日仏政府は安定重視>
フランスのルメール経済・財務相は21日、フランスと日本はアライアンス強化を目指していると述べた。
ゴーン容疑者については、日産が主張する不正行為を裏付ける証拠は現時点で有していないとした。
記者団に「現時点で、ゴーン氏に対する容疑を裏付ける証拠は何もない。日産に対し、すべての証拠の共有というルノー取締役会の要望を強く主張したい」と語った。
ルメール財務相は世耕弘成経済産業相と22日に会談する予定。
ルノー取締役会は20日、ティエリー・ボロレ最高執行責任者(COO)を暫定トップに指名した。
同社ナンバー2のボロレ氏は副CEOに就任する。また、会長代行にフィリップ・ラガイエット社外取締役を任命した。
一方、ゴーン容疑者のCEOの解任は見送った。
*内容を追加しました。
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