日立製作所グループの化学メーカー、日立化成が不正に出荷した製品は、自動車メーカーの検査などをクリアしていることもあり、「製品の安全上の問題はなく、リコール(回収・無償修理)などに発展しない」(丸山寿社長)という。だが、納入先企業がつくる製品に疑義が生じる可能性は否定できず、極めて深刻な問題といえる。同社への不信が高まりそうだ。
日立化成は2日、既に公表している半導体部品や鉛電池以外にも、樹脂材料や自動車部品など29製品で「不適切な検査を実施していた」と発表した。製品の品質問題や法令違反は現時点で確認されていないと説明している。
日立化成によると、検査を怠るケースや、数値を一部改竄(かいざん)するなどしていたことが判明。しかも、不正は国内全7事業所で行われていたという。丸山社長は「マニュアルの存在は確認していない。(不正は)個人でやっていた」とするが、全事業所におよぶ不正は組織ぐるみと取られても仕方がない状況だ。
不正が長年にわたって常態化した背景について丸山社長は「製品の品質に対する過信」と説明した。これまでクレームを受けたことは一度もないといい、「検査基準を少し逸脱して出荷しても大丈夫」との考えが全社に蔓延(まんえん)していたとみる。
今後、特別調査委員会が11月末までにまとめる報告書を踏まえて、再発防止策を策定する考えだが、失った信用を取り戻すのには時間がかかりそうだ。今回、不適切な検査が判明した製品のうち、半導体用材料「CMPスラリー」などは世界シェアトップだが、顧客離れでシェアが一気に低下する可能性もある。(飯田耕司)
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