2017年10月3日火曜日

日産、121万台リコール 西川社長「費用250億円以上」

 日産自動車は2日、無資格の従業員が国内6工場で検査工程に携わっていた問題について記者会見を開き、週内に24車種、121万台のリコール(回収・無償修理)を国土交通省に届け出ると説明した。軽自動車を除き、日産の国内販売の3年分に相当する規模で、費用は250億円以上になる見通し。企業ブランドが傷つき、日産車販売への影響が懸念される。

無資格検査問題で記者会見を終え、一礼する日産の西川社長(2日午後、横浜市西区)
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無資格検査問題で記者会見を終え、一礼する日産の西川社長(2日午後、横浜市西区)

 新車が公道を走れるようにするための「完成検査」に資格を持たない従業員が携わっていた問題は、国交省による9月18日以降の立ち入り調査で発覚した。西川広人社長は「心からおわびしたい」と陳謝。「完成検査は国から委託され進めているプロセス」と説明し、無資格の従業員が携わっていたことについて「ものづくりの世界であってはならないことだ」と話した。

 追浜工場(神奈川県横須賀市)など国内に6つある日産の完成車生産拠点の全てで同じ状況が確認されており、日産は9月29日に再検査が必要な在庫車について顧客への引き渡しを停止した。対象車については日産系列の販売店で完成検査相当の点検を終え次第、3日から納車に向けた登録手続きを再開する。

 日産はすでに顧客の手に渡った車両についても、販売店での検査のやり直しが必要と判断した場合はリコールを届け出る。納車後、1回目の車検を受けていない2014年10月から17年9月に生産した車両約121万台が対象となる。リコール費用について西川社長は「250億円以上になることを覚悟している」と話した。

 西川社長は無資格の従業員による完成検査が見過ごされていた原因について、「工程そのものの意味が十分に認識されていなかったところが大きい」と語った。さらに「今後、1カ月かけて原因やその背景にある要因、従業員の意識を含めて徹底的に検証した上で対策を立てたい」とした。

 2日の東京株式市場で日産株は寄りつきからまとまった売り注文に押され、一時前週末比で5%安まで急落した。終値は3%安の1084円50銭まで戻した。

 無資格検査問題の発覚前から、日産株への投資家の評価は厳しい。17年4~6月期決算の発表後、ここ1カ月半の騰落率ではトヨタ自動車(9%高)とホンダ(11%高)、スズキ(7%高)に比べ、日産は1%安と出遅れている。日産の稼ぎ頭の北米市場で成長が頭打ちし、競争激化による販売奨励金(インセンティブ)の増加などで収益力が低下していることが下げ材料となっている。

 2日は日産が看板商品と位置づける電気自動車(EV)「リーフ」の発売日だった。上向き始めた国内販売の切り札として、販売現場の士気も高まっていただけに、販売会社からは「水を差された」との声が出ていた。

 海外では安全性を審査する制度が異なるため、日産は輸出向けの車両や海外生産車については「全く問題ない」としている。国交省の指摘を受け国内各工場の検査体制を是正した9月下旬以降の生産車については、通常通り顧客への引き渡しを続ける方針だ。

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