【ワシントン清水憲司】トランプ米大統領が米連邦準備制度理事会(FRB)の次期議長の人選を本格化させた。記者団に29日、「今後2、3週間で決定する」と述べ、10月中に決定する考えを表明した。元FRB理事のケビン・ウォーシュ氏、現理事のジェローム・パウエル氏と相次いで面会しており、これにイエレン議長、側近で国家経済会議(NEC)のコーン委員長を加えた4人を軸に選考が進みそうだ。
トランプ氏は29日、記者団に「議長の人選で4人と面会した」と語った。誰と面会したかは明かさなかったが、米メディアによると、ムニューシン財務長官とともに27日にパウエル氏、28日にはウォーシュ氏と面会。トランプ氏は混乱なく景気拡大を導いてきたイエレン氏を「いい仕事をしてきた」と評価している。コーン氏は、白人至上主義をめぐるトランプ氏の発言を批判した後、指名観測が後退したが、今も候補に残っている模様だ。
国際金融協会(IIF)のチーフエコノミスト、ロビン・ブルックス氏は「トランプ氏は経済成長と雇用創出、製造業を重視しており、いずれもドル安が重要。ドル高を避けるため、金融引き締めに慎重な人物を選ぶはず」と予想する。
コーン氏はこれまで金融政策について語っていないが、成長重視の立場から4人の中では最も利上げに慎重との見方が多い。イエレン氏は慎重に利上げを進める路線を推進中で、パウエル氏はイエレン氏とほぼ同じ姿勢を示してきた。これに対し、ウォーシュ氏はFRBの裁量縮小や現在2%のインフレ目標を「おおむね1~2%」に変更すると提唱。金融引き締めに前向きな立場で、トランプ氏とは意見が合わない可能性がある。
ただ、ウォーシュ氏はブッシュ(子)政権時にホワイトハウスで勤務し、金融・経済政策で与党共和党と近い。金融危機時にはFRB理事として金融機関とのつなぎ役を務めるなど「非常に弁舌にたけた人物」(元FRB高官)。議長に指名されれば、持論を封印する可能性もある。
「ダークホース」とみられていたパウエル氏も有力候補に浮上した。引き締めに比較的慎重なのに加え、ブッシュ(親)政権で財務省高官を務めた経緯から、共和党から幅広い支持を見込める。トランプ氏が目指す金融機関への規制緩和に理解を示す点も後押し材料とみられる。
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