2018年5月29日火曜日

ポルシェ、ブランド70周年を記念した記者会見。同社初のEV「ミッション E」を2020年に日本導入

ポルシェは最も収益性の高い自動車メーカー

ポルシェ ジャパン株式会社 代表取締役社長の七五三木敏幸氏

 はじめに登壇した七五三木社長は、ポルシェのこれまでを振り返るとともに今後の展開について触れ、「ポルシェは最も収益性の高い自動車メーカーとして知られ、2017年度の営業利益率は17.6%。この数値は競合他社のおよそ2倍になり、お客さまがあってこそですがこの件は誇りをもって皆さんにお話しできると思います」と述べたほか、2017年度は対前年比で営業利益が7%増の41億ユーロ、売り上げが5%増の235億ユーロ、出荷台数が4%増の24万6375台だったことを報告。

 また、ポルシェブランドとしてエクスクルーシブ性を保つことが非常に重要なこととし、「われわれポルシェの世界市場でのシェアはわずかに0.3%(2017年度)です。しかし、この数値がポルシェのエクスクルーシブ性を可能にするために大変重要な要因です。ポルシェはエクスクルーシブなスポーツカーの開発、生産、販売にとどまらず、電動化、デジタル化、コネクティビティといった未来の自動車産業に必要となるこの3つのテーマへも積極的に取り組んでいます。われわれが70年間かけて培ってきた伝統的な価値と、こうした革新的な技術をいかに結びつけるかがカギになります」。

「われわれは大変好調な業績であることを皆さまにお伝えしましたが、その業績にあぐらをかくわけではございません。地球環境に大きな影響を与える自動車メーカーの一員として、ポルシェは低炭素社会の実現に向けて2017年中にグローバルでのCO2削減に向け大きく方向転換を遂げました。実際、2017年度のCO2排出量は対前年で61%削減し、われわれの取り組みは早くも大きな成果を上げていると考えています。先ほどポルシェの世界市場でのシェアが0.3%と述べましたが、一企業としてみればCO2の削減量は微々たるものかもしれませんが、自動車の歴史に残るさまざまなテクノロジーを、そしてそれをリードしてきたわれわれの中心たるヴァイザッハ研究開発センターが、他の自動車メーカーに与える影響は決して小さくないと自負しています」。

「ヨーロッパのマーケットを見てみると、2018年第1四半期はパナメーラ、とくにPHEV(プラグインハイブリッド)モデルに対するお客さまからの大変高い支持が目立ちました。2017年に投入された現行世代のパナメーラは、その販売台数を前モデルと比べると約2.5倍強と驚異の成長を遂げました。その成長に大きく貢献してくれたのがPHEVモデルで、ヨーロッパでは2018年第1四半期に販売されたパナメーラのうち、実に60%以上がPHEVモデルでした。パナメーラが属するラグジュアリーセダンのセグメントでは、大変特異な現象と言えます。ポルシェのPHEVモデルは単に燃費の向上を追い求めるのではなく、ときにはブーストとしての役割を果たす、言わば“パフォーマンスオリエンテッドなハイブリッド”というキャラクターも持っています。ともすれば退屈と誤解されがちなPHEVモデルですが、相反する複数の要素を併せ持つというポルシェの製品哲学にかかればエコとパフォーマンスの2面性を持つ魅力的な機能として生まれ変わります。この60%以上という数値は、マーケットがPHEVモデルに対するポルシェの姿勢を理解、そして支持していただいた証だと思っています」と、近年パナメーラのPHEVモデルが好調な販売をみせていることなど、これまでの振り返りを行なった。

 一方、今後の展開については、ポルシェが全世界で2025年までにモデルラインアップの50%を電動化(EVおよびPHEV)することを目標に掲げていることを紹介するとともに、ミッション Eについて言及。七五三木社長は「ミッション EはハイパフォーマンスEVセグメントで新たなドライバビリティの創造とサステナブルモビリティを史上最高レベルで両立したモデルです。まさにポルシェの新時代の到来を告げる“ゼロ・エミッションポルシェ”で、2019年に初登場します。ポルシェ ジャパンでは、2020年の遅くないタイミングで日本の皆さまにミッション Eをお届けできるようにプロジェクトチームを結成して準備を進めてまいります」と、ミッション Eの導入時期についてコメント。合わせてミッション Eの生産モジュール工場を本社中枢で建設中であること、ポルシェのデジタル化の拠点である「ポルシェ デジタル」でコネクティビティ、スマートモビリティ、自動運転などの技術開発を行なっていること、そして2018年のジュネーブショーで世界初公開したクロスオーバーユーティリティビークル(CUV)のEVコンセプトスタディモデル「ミッションEクロスツーリスモ」を動画で紹介した。

EVコンセプトスタディモデル「ミッションEクロスツーリスモ」を動画で紹介

 そのほか、七五三木社長からは2015年に発表した「魅力的なポルシェをご提供し続けることで、日本の消費を刺激します」「PHEVのさらなる拡大/ゼロエミッションスポーツカーの導入」「お客さまへのスポーツドライビング体験の提供」という3つの約束のコミットメント達成状況について報告。

 1つ目の「魅力的なポルシェをご提供し続けることで、日本の消費を刺激します」については、2017年度に6923台の出荷台数を達成し、これは2009年の3214台と比べて215%増という結果になっており、順調に販売台数を伸ばし続けていることをアピール。

2017年度は6923台の出荷台数となり、これは2009年の3214台と比べて215%増という結果

 また、2つ目の「PHEVのさらなる拡大/ゼロエミッションスポーツカーの導入」については、「2016年当時のパナメーラにおけるPHEVのシェアは15%弱(14.7%)でしたが、2018年度現在、その2倍になる30.0%まで増加しました。また、ポルシェ初のゼロエミッションスポーツカー『ミッション E』の導入については2020年になります。ミッション Eは低重心で、パナメーラではなく、より911に近いポルシェのスポーツカーと言い切れるプロポーションになります。最高出力は600PS、0-100km/h加速は3.5秒以下、航続距離は500km、充電15分で400kmの走行が可能というスペックになっています」と、その高性能さについて触れた。

パナメーラ PHEVのシェアは2016年から倍増
2020年にミッション Eを導入する

 そして最後の「お客さまへのスポーツドライビング体験の提供」については、ポルシェ カレラカップやGT3カップチャレンジなど参加型モータースポーツへのサポートを行なっていることを報告するとともに、ポルシェの性能を体感できる施設「エクスペリエンスセンター」(現在アトランタ、ライプツィヒ、シルバーストーン、ル・マン、ロサンゼルス、上海にある)を日本に設置することを検討していると報告し、「エクスペリエンスセンターを日本に設置することで、これまで以上に多くのお客さまにポルシェブランドの魅力を伝えていきたいと考えています」と、日本における今後の展開について語った。

ポルシェの性能を体感できる施設「エクスペリエンスセンター」を日本に導入する計画を検討中

 七五三木社長は、最後に「ポルシェ ジャパンのミッションは『私たちは、お客さまの期待を超えた“歓び”を提供するため、ポルシェブランドへの情熱と革新性を持って、勇敢に挑戦し続けます』。ポルシェというスポーツカーでお客さまを魅了し続けるためには、社員1人ひとりが常に挑戦しながら革新を続けていかなければなりません。そしてそのミッションを実現していくために、ポルシェ ジャパンは3つのお約束を果たしていくことを誓います」とし、プレゼンテーションを締めくくった。

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