2018年5月28日月曜日

骨太の方針、骨子案に増税対策

経済財政諮問会議であいさつする安倍晋三首相(左から2人目)=首相官邸で2018年5月28日、和田大典撮影

 政府は28日、経済財政諮問会議を開き、経済財政運営の指針となる「骨太の方針」の骨子案を示した。2019年10月に予定する消費税増税が日本経済に深刻な影響を与えないよう万全の対策を講じる方針を明記。安倍晋三首相は「臨時特別措置を19、20年度当初予算で講じるべきだという提案が(会議で)あった」と述べ、増税前後の大型景気対策を検討するよう指示した。

 14年4月に消費税率を5%から8%に引き上げた際は、増税前の駆け込み需要の反動などで個人消費が落ち込み、景気に打撃を与えた。こうした経緯を踏まえ、政府は6月に決定する骨太方針に影響緩和策の実施を盛り込む。首相は具体策の作成を茂木敏充経済財政担当相に指示した。

 消費税率8%から10%への引き上げ時の家計の負担増は単純計算で5.6兆円。食料品などの税率を据え置く軽減税率や教育無償化などで、実質的な負担増は2兆~3兆円とみられ、政府はこれに匹敵する大規模な景気対策を検討する。年度途中に編成する補正予算ではなく、増税前後の当初予算に計上することで消費の変動にあらかじめ備える考えだ。

 公明党の石田祝稔政調会長は28日、安倍首相に骨太方針に関する提言をした際、首相が「19、20年度に相当思い切った財政出動をする」と述べたことを記者団に明らかにした。

 大型景気対策に加え、住宅や自動車を増税後に購入しても家計への負担が大きくならないよう、住宅ローン減税の拡充や、自動車を買う際にかかる新税の減税も検討する。与党税制調査会と協議し、年末までに具体策を決める。

 小売店が「消費税増税分を値引きする」とPRする「消費税還元セール」の解禁も検討する。小売店に商品を納入する中小企業が値引き分の負担を強要される問題が発生したため、14年4月の増税時に特別措置法で禁止されたが、価格の一律上昇が消費者心理を冷え込ませた可能性が指摘されている。政府は中小企業に負担のしわ寄せが行かないよう監視を続けたうえで、セールを認める方針だ。

 諮問会議では、新たな財政健全化計画についても議論。民間議員は、財政健全化の指標である基礎的財政収支の黒字化の目標を現在の20年度から25年度に先送りするよう求めた。【大久保渉、古川宗】

消費税増税後の消費落ち込みへの対策案

・「消費税還元セール」の解禁

・住宅ローン減税の拡充

・自動車取得時の免税対象車種の拡充

・2019年度当初予算での経済対策

・食料品などの税率を低くする軽減税率(導入決定)

Let's block ads! (Why?)

Read Again https://mainichi.jp/articles/20180529/k00/00m/020/132000c

0 件のコメント:

コメントを投稿