KDDIは29日、動画配信サービスのNetflixと提携し、Netflixの月額利用料と通信料金をセットにした「auフラットプラン25 Netflixパック」などの新サービスを発表しました。KDDIの高橋誠社長は「ワクワクを提案し続ける会社を目指す」としており、その「ワクワク」の第1弾として位置付けています。
「ワクワクの提案」として高橋社長は今回、Netflix、ロボット事業のTelexistence、そしてオープンイノベーション拠点を目指すKDDI DIGITAL GATEの3つに関して発表。
Netflixとビデオパスと25GBの通信容量で月額5,500円から
KDDIとNetflixとの関係は7年前にさかのぼるといいます。高橋社長がNetflix本社を「半ば飛び込みで」(高橋社長)訪問したものの、当時は連携することがなく「販売代行の話もあったがうまくいかなかった」とのこと。その後、Netflixと米通信会社のT-Mobileがコンテンツとのバンドル販売で成功し、そのモデルを提案されたことが、提携の発端となったようです。
「料金とコンテンツをバンドルする時代になった。これからはこれが重要になる」と高橋社長は強調し、今回のセットプランの提供となりました。NetflixのベーシックプランとKDDIの動画配信「ビデオパス」の両方の月額料金に加えて、auフラットプラン20GBに5GBをプラスした25GBの容量を含む「auフラットプラン25 Netflixパック」が新たに追加されました。
auフラットプラン20(スーパーカケホ)は月額6,500円ですが、新セットプランはそこに5GBがプラスされたほか、月額650円のNetflix、同562円のビデオパスを加えて月額7,500円で提供するもので、それぞれを個別に契約するよりもお得です。
これにauスマートバリューの毎月1000円引き、「スマホ応援割」の1年間毎月1000円引きが加わり、契約から1年間は月額5,500円で利用できることになります。プラン提供は2018年夏以降を予定しています。
ざっくりとした計算ですが、高橋社長はauフラットプラン20に容量10GBがプラスされる、auフラットプラン30がプラス2,000円の8,500円で提供されることから、新セットプランに追加される5GBは、その半分の1,000円の価値があると指摘。その値段でさらにNetflixとビデオパスが利用できる点をアピールしています。
ちなみに、この25GBという容量は、「一昔前に一世帯が1カ月にTVを視聴する時間の平均である100時間を、NetflixのSD画質で視聴できるデータ容量」(KDDIライフデザイン事業本部新規ビジネス推進本部エンターテインメントビジネス推進部長・宮地悟史氏)とのことです。
スマホ視聴が多い日本ではKDDIとの提携が「パーフェクトマリッジ」
ゲストとして登壇したNetflixプロダクト最高責任者のグレッグ・ピーターズ氏は、Netflixが世界190カ国でサービスを展開し、1億2,500万以上のユーザーを抱えていることを説明。しかもその50%がアメリカ国外のユーザーで、世界中の利用者が拡大していることを紹介し、さらなる成長のためにモバイルでの利用が重要になるとしています。
スマートフォンに特化したコンテンツの制作は、現時点で想定していないそうですが、スマートフォンでの視聴を快適にする技術などを開発することで、ユーザー体験の向上を狙っているようです。
さらに、Netflix側によれば米国では、利用者の70%以上が主にテレビでの視聴を行っているのに対し、具体的な数字は非公表ながら日本はこの割合が低く、スマートフォンからの視聴割合が高いそうです。本来、1つの契約でマルチユーザーが利用できるにも関わらず、単独ユーザーの利用の割合が多いのも日本の特徴だとしています。
そうした日本の現状に対して、通信事業者のKDDIとの提携は「パーフェクトマリッジ」だとNetflixでは強調しています。なお、グローバルのコンテンツを中心としたNetflixに対して、国内向けのコンテンツを集めたビデオパスは、「コンテンツのオーバーラップはあまりない」(ピーターズ氏)ため、セットにすることで相乗効果があるという位置付けです。
高橋社長によれば、国内の有料動画サービスの利用は拡大しており、2020年末には2010万契約に達するとみられています。しかし、現状の有料動画サービス加入者は全体の15%。コンテンツが少ない、料金が高い、視聴する時間がないといった課題に対して、Netflixとの提携によって料金とコンテンツの問題を解消し、ユーザーの拡大を図りたい考えです。
なお、Netflixではソフトバンクとも販売代行で協業していますが、これも継続します。ピーターズ氏は、「ソフトバンクは素晴らしいパートナー」としつつ、米国でも成功した手法を日本でもKDDIとのパートナーシップで提供することで、さらなる成功を狙っています。ピーターズ氏は高橋社長が繰り返す「ワクワク」という言葉を使って、「Waku Waku Experience(ワクワク体験)を提供する」とアピールします。
ユーザーの要望次第でさらにプランを追加
今回は25GBという容量ですが、それ以外の容量に関しては、ユーザーの要望などを見て提供を検討します。米国では特定のサービスでデータ容量を消費しないゼロレーティングも出てきていますが、高橋社長は、総務省との話し合いで携帯キャリア(MNO)がゼロレーティングを実施するのは、利用の公平性の観点からグレーとなっているとのことで、現状では提供しないとの見解。これも今後の議論の方向性によっては、そういった形態も検討する考えとしています。
こうしたセットプランについて高橋社長は、例えばauひかりのような固定サービスにも提供を検討するほか、傘下のMVNOであるUQモバイルなどへの広がりも期待しています。
Read Again https://news.mynavi.jp/article/20180529-638255/
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