消費者庁は30日、(株)TSUTAYAに対し景品表示法に基づく措置命令を行なった。同社では、月額税別933円のサブスクリプション型の動画配信サービス「TSUTAYA TV」について、「動画見放題」などとうたっていた。ただ、「TSUTAYA TV」のライナップの多くがその都度課金しないと見られない動画が占めており、実質的には見放題となるものではなく優良誤認表示と判断された。
「よくある質問」内に打ち消し表示、折りたたみ表示でわかりにくく
消費者庁の調べによると、TSUTAYA TVは都度課金によって視聴できる動画が大多数で定額で視聴できる動画はTSUTAYA TVで取り扱う動画の12〜26%程度だった。TSUTAYA では、「動画見放題 30日間無料お試し」などとうたうバナー画像に、映画やアニメの画像を羅列したデザインの背景を採用していたが、背景に使われていた動画の過半は「動画見放題プラン」の対象外だった。
また、「人気ランキング」「近日リリース」などとして動画を一覧化して掲載していたが、ほとんどの動画が都度課金でしか見られないものだった。
打ち消し表示についても言及した。同社では、「よくある質問」に、「動画見放題は新作も見られるか?」といった項目も設けており、都度課金でしか見られない動画があることも表示していた。しかし、「よくある質問」は強調表示から離れた箇所に記載してあり、打ち消し内容はアコーディオンパネル(折りたたみ式のウェブ表示形式)を展開しないと確認できない仕様だった。そのため、消費者庁は、見放題となる可能ように示す表示から受ける認識を打ち消すものではなく、打ち消し表示として機能していないと判断した。
なお、消費者庁では16日に「スマートフォンにおける打消し表示に関する実態調査報告書」を公表しており、アコーディオンパネル内に打ち消し内容をたたんでいる表示は「アウト事例」だと説明していた。
実態なき「期間限定割引」、有利誤認表示も認定
措置命令の対象は、サブスク型動画配信の提供を含む4つのサービス。(1)サービス単体を提供する「動画見放題プラン」、(2)宅配レンタルとセットになった「動画見放題&定額レンタル8」、(3)光回線ネット接続サービスの特典として提供する「TSUTAYA光」、(4)動画配信と特定の実店舗での定額レンタルサービスをセットにした「TSUTAYAプレミアム」ーーの4つ。
なお、「TSUTAYA光」については、期間限定と称して割引販売の表示をしていたが、限定されていた「期間」の実態はなかった。この表示については、有利誤認表示を認定した。
消費者庁・表示対策課の大元慎二課長は「契約者数は万単位に及んでいる。表示会社にはこれまで250件以上の苦情が寄せられていたと聞いている」としている。
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