[東京 17日 ロイター] - 日銀が金融政策を微調整した後のETF(上場投信)購入方法に市場参加者が神経を尖らせている。8月以降、日銀がETF買いに動いたのは2日のみ。前場のTOPIXの下落率が、従来なら買い入れに動いていてもおかしくない水準にあっても、買い入れが見送られるケースもあった。
市場では早くも「ステルステーパリング」の兆しを指摘する声もある。
日銀は7月30、31日の金融政策決定会合で「強力な金融緩和継続のための枠組み強化」を決定。ETFについては年間6兆円の目標は維持する一方で、「市場の状況に応じて買い入れ額は上下に変動しうる」とした。
8月に入り日銀が通常のETF買い入れに動いたのは10日と13日の2回のみ。日銀が買い入れに動く目安とされる前引け時点のTOPIXの下落率は10日が0.56%、13日が1.72%だった。
先月末の政策修正前は、TOPIXの下落率が0.2%を超えた場合は、ほとんどの場合買い入れを実施してきたが、今月に入ってからは、下落率が0.2%を超えても様子見が続き、14、15日の2日間は下落率が0.4%を超えたにもかかわらず、日銀の買い入れは見送られた。このため、市場では日銀がETF購入を巡り「ステルステーパリング」に動いているのでは、との疑念が広がりつつある。
ニッセイ基礎研究所・チーフ株式ストラテジストの井出真吾氏は「8月に入ってから(日銀はETFを)買わなくなった。ルールを変えたのは間違いない」と指摘。「十中八九、ステルステーパリングだろう」との見方を示す。
もっとも、日銀が政策の微調整に動いてからまだ1カ月も経っていない。これまでもTOPIXが前場で値幅を伴った下げをみせても、買い入れが見送られたケースがあった。
三菱UFJモルガンスタンレー証券・投資情報部長の藤戸則弘氏は「サンプル数がまだ少ない。しばらくは日銀の出方をウオッチする期間」だと指摘。そのうえで「現時点でダウンサイドの影響を予測することは時期尚早だが、(買い入れを)減らす場合もマーケットが痛みを感じないようにやっていくはず」と話す。
植竹知子、長田善行 取材協力:佐野日出之 編集:石田仁志
0 件のコメント:
コメントを投稿