NVIDIAは、8月21日よりドイツ・ケルン市にあるケルン・コンベンション・センターで開幕するGamescomに先だって8月20日に記者会見を開催し、同社のゲーミングPC向けGPU「GeForce」ブランドの新製品となるGeForce RTX 20シリーズを発表した。
記者会見のレポート記事(NVIDIA、リアルタイムレイトレーシングに対応した「GeForce RTX 20」シリーズ)でも紹介している通り、GeForce RTX 20シリーズは、NVIDIAの新GPUアーキテクチャ「Turing GPU Architecture」に対応した新世代のGPU。RTコア、Tensorコアという新しい演算器を搭載しており、Quadro RTXシリーズと同じようにリアルタイム・レイトレーシングに対応していることが最大の特徴だ。
記者会見終了後はNVIDIAは、GeForce RTX 20シリーズを報道関係者に公開、RTコアを利用する基盤となるRTXを利用して、リアルタイムレイトレーシングに対応した「Shadow of the Tomb Raider」、「Battlefield V」のプレイアブルデモの展示を行ない注目を集めた。
TU102/TU104/TU106という3つのダイが存在か
NVIDIAより発表されたGeForce RTX 20シリーズには、3つのSKUがあり、それぞれに無印とFounder Editionという2つのエディションが用意されている。
無印とFounder Editionの違いは、「NVIDIA GPU Boost」という、廃熱に余裕がある場合にGPUの規定の電力を超えて動作する、いわゆるクロック周波数の向上機能で。無印は規定されているクロック周波数までとなっているのに対して、Founder Editionはその規定値のクロック周波数を飛び越えて、オーバークロック周波数で動作するように設計されている。
それにあわせてビデオカード全体の熱設計時に参照するカード全体の電力が引き上げられている。そうしたGeForce RTX 20シリーズのスペックをまとめると、下表のようになる。
製品 | GeForce RTX 2080 Ti | GeForce RTX 2080 | GeForce RTX 2070 | |||
---|---|---|---|---|---|---|
モデル | Founder Edition | 無印 | Founder Edition | 無印 | Founder Edition | 無印 |
ダイ | TU102 | TU104 | TU106 | |||
CUDAコア | 4,352基 | 2,944基 | 2,304基 | |||
ブーストクロック | 1,635MHz(OC) | 1,545MHz | 1,800MHz(OC) | 1,710MHz | 1,710MHz(OC) | 1,620MHz |
ベースクロック | 1,350MHz | 1,515MHz | 1,410MHz | |||
レイトレーシング | 非公表 | 10G Ray/s | 非公表 | 8G Ray/s | 非公表 | 6G Ray/s |
メモリ容量/種類 | 11GB/GDDR6 | 8GB/GDDR6 | ||||
メモリクロック | 14Gbps | |||||
メモリバス幅 | 352ビット | 256ビット | ||||
帯域幅 | 616GB/s | 448GB/s | ||||
NVLink(SLI-Ready) | ○ | - | ||||
最大解像度 | 7,680×4,320ドット | |||||
ディスプレイ出力 | 4 | |||||
USB Type-C | VirtualLink対応 | |||||
HDCP2.2 | ○ | |||||
カード電力 | 260W | 250W | 225W | 215W | 185W | 175W |
奨励電源 | 650W | 550W | ||||
補助電源 | 8ピン+8ピン | 6ピン+8ピン | 8ピン | |||
税別価格(米ドル) | 1,199ドル | 999ドル | 799ドル | 699ドル | 599ドル | 499ドル |
NVIDIAは公式には何も明らかにしていないが、OEMメーカー筋の情報によれば、今回のGeForce RTX 20シリーズのダイはTU102、TU104、TU106の3製品が用意されており、TU102がGeForce RTX 2080 Ti、TU104がGeForce RTX 2080、TU106がGeForce RTX 2070として利用されているという。
それぞれのダイの違いは、CUDAコア数のほか、メモリコントローラのバス幅、RTコアの性能と、NVLinkへの対応が挙げられる。
メモリバス幅で言えば、TU102は352bit、TU104とTU106は256bitとなっている。レイトレーシングの性能はTU102のGeForce RTX 2080 Tiが10G Ray/s、TU104のGeForce RTX 2080が8G Ray/s、TU106のGeForce RTX 2060が6G Ray/sと明らかにされている。このため、RTコアの数もそれぞれのダイで違っている可能性が高い。
下位モデルとなるTU106のGeForce RTX 2070だけが、NVLinkには未対応になっている。NVIDIAは今回の世代から、従来世代までのSLIに換えて、GeForceブランドの製品にもNVLinkを導入した。
このNVLinkは、SLIに比べて50倍高速だとNVIDIAは説明しており、今後はSLIに代わりNVLinkをマルチGPUの技術として利用することになる模様だ。「模様だ」というのは、公式サイトにはNVLinkに関してそう説明があるだけで、既存のSLIと互換性があるのか、ゲームでどのように機能するのかなどに関しての説明はまだないからだ。
NVLinkは、すでにデータセンター用のTesla、プロフェッショナル向けのQuadroで導入されており、基本的にそれと同じ技術であると考えて良いだろう。
Teslaの場合は、CUDAを演算するために利用するために、NVLinkを利用して複数のGPUを1つのGPUのように扱うことが可能になっているが、SLIとの互換性を持たせるためにはどうするのか(そもそもSLIとの互換性はあるのか)など、詳細は気になるところだ。
NVIDIAのサイトでは、すでにNVLinkブリッジの予約が始まっており、2枚のカードを隣同士で装着する3スロット用、2枚のカードを1スロット分空けて装着する4スロット用が用意されており、どちらも79ドルという価格設定になっている。
AICパートナーの搭載ビデオカードも展示。トリプルファンが主流に
展示会場では、発表されたばかりのGeForce RTX 2080 Tiのカードやそれを搭載したシステムが展示され、実際にゲームをプレイして楽しむことができた。
GeForce RTX 2080 Tiの実機で確認したところ、ディスプレイ出力はDisplayPortが3つ、HDMIが1つ、USB Type-Cが1つとなっていた。
補助電源ピンはスペック通り8ピン+8ピンの構成で、NV-LINKのスロットに関してはフタがされていたため、確認することができなかった。
会場では、同社のボード販売パートナーとなるAIC(Add In Card)パートナーのGeForce RTX 20シリーズ搭載ビデオカードのサンプルが展示されていた。
AICベンダーの製品は、ボードこそNVIDIAリファレンスであることが多いが、ファンはオリジナルで、リファレンスのファンよりも効率が良い場合が多いため、より高いクロックまでオーバークロックできるようになっている製品も少なくない。
今回の展示でも、大多数の製品はNVIDIAのリファレンスよりも多いトリプルファン構成になっており、よりオーバークロックで動かしたいユーザーなどにとっては、AICパートナーの製品も要注目と言える。
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