2018年11月2日金曜日

「品質への過信」が不正招く 不信高まる可能性も

 日立化成で新たな不正が判明した。丸山寿社長は2日の記者会見で、自動車メーカーの出荷時検査などをクリアしていることもあり、「製品の安全上の問題はなく、リコール(回収・無償修理)には発展しない」と説明した。だが、納入先企業がつくる製品に不安を生じさせかねない事態は極めて深刻だ。日立製作所グループへの不信につながる恐れもある。

 日立化成の平成30年3月期の連結売上高は6692億円。このうちの1割が新たに発表した検査不正の対象品だった。同社によると、検査を怠ったり、検査数値の一部を改竄(かいざん)したりしていたという。

 丸山社長は「(不正)マニュアルの存在は確認しておらず、個人でやっていた」と説明した。だが、不正は国内全7事業所に広がっており、組織ぐるみとみられても仕方がない。

 不正が全事業所で長年にわたって常態化した背景について、丸山社長は「品質への過信」と分析。これまでクレームを受けたことは一度もないといい、「検査基準に少し逸脱した製品を出荷しても大丈夫」との甘えが全社に蔓延(まんえん)していたという。

 今後は11月末までにまとまる予定の特別調査委員会の報告などを踏まえ、再発防止策の策定に乗り出す考えだが、失墜した信用を取り戻すのには時間がかかりそうだ。今回、不適切な検査が判明した製品のうち、一部の半導体用材料などは世界トップシェアを誇るが、シェアが一気に低下する可能性もある。(飯田耕司)

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