2017年9月6日水曜日

「ゆうパック」平均12%上げ 人件費高騰で

 日本郵便は5日、宅配便「ゆうパック」の個人向け料金を2018年3月1日から平均12%引き上げると発表した。人手不足による人件費高騰など、深刻な事業環境に対応する。すでにヤマト運輸、佐川急便は値上げを表明しており、大手3社の新運賃が出そろう。

 日本郵便の宅配便値上げは15年8月以来。荷物の大きさと発着地によって110~230円(沖縄以外)を現行の料金に上乗せする。東京から大阪に最も小さいサイズ(箱の3辺の長さの合計が60センチメートル以下)の荷物を送る料金は110円上がり950円となる。

 都内で記者会見した横山邦男日本郵便社長は「従業員に過重労働と低賃金を強いるビジネスモデルは続けられない」と語り、消費者負担が増すことに理解を求めた。

 国内宅配便のシェアトップは47%のヤマトで、佐川が31%。3位の日本郵便は16%と大きく離されている。ヤマト、佐川が年末を前に値上げするなか、当初は価格を据え置いてシェア拡大を優先する方針だった。日本郵便が値上げを決めたことで、荷物の大きさや発着地によって若干の差はあるものの、3社の料金は同程度の水準になる。

 各社は値上げで従業員の待遇を改善。物流施設の自動化設備や先端技術の開発に投資して、サービスの維持にも取り組む。ヤマトは自動運転による宅配を視野に入れた実証実験に着手。日本郵便は来年、郵便局間の輸送にドローン(小型無人機)の実用化を目指す。

 日本郵便はゆうパックなど郵便・物流事業の立て直しが急務だ。同事業の17年4~6月期は64億円の赤字。郵便物の減少とトラック運転手不足が響いている。6月には23年ぶりにはがきの値上げに踏み切っていた。

 親会社である日本郵政にとっても日本郵便の収益改善が欠かせない。18年3月期は4千億円の純利益を見込むが、ゆうちょ銀行かんぽ生命保険の金融2子会社頼み。その2社に低金利という逆風が吹いている。

 ゆうパックの個人向け料金を引き上げることで、年間80億円の増収効果を見込む。ゆうパック全体のうち個人向けは約1割で、企業の大部分には割引料金を適用している。横山社長は大口顧客との値上げ交渉について「おおむね理解を得ている」と述べた。

 個人向け料金の利用者の負担を和らげるため、新たな割引も導入する。荷物の発送前にインターネットでクレジットカード決済した利用者に対して、180円を割り引く制度を設ける。期間限定で実施している、荷物を郵便局などで受け取った消費者に共通ポイントを付与するキャンペーンも常設のサービスにする。

 再配達を削減するために荷物を受け取りやすくする仕組みも整える。配達時間帯を指定できるサービスに午後7~9時の時間帯を追加する。コンビニエンスストアや宅配ロッカーなど自宅以外で荷物を受け取れる施設を都市部で約6千カ所に増やす計画だ。

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