狭山工場の閉鎖でホンダの国内での年間生産能力は現在の約106万台から81万台へと約2割減る。狭山工場の生産能力は年間25万台で、その分がまるまるなくなる計算だ。
一方、狭山工場で働いている人たちの雇用はそのまま維持するということなので、言い換えると人員体制は実勢の生産台数に見合うようすでに対応していたが、狭山工場の年産能力に相当する25万台分の生産設備が余っている状況になっていたわけだ。
実際、ホンダの八郷隆弘社長も本社(東京青山)で開いた会見の中で、「狭山の完成車が寄居に集約する時点になれば81万台の生産能力になる。今、我々国内での生産は70万台をほぼ国内の販売にあて、10万台を輸出にあてる計画になるので、ほぼ100%に近い稼働率に国内がなっていき、競争力がついてくる」と認めている。
ただ八郷社長は昨日の会見からわずか1年10か月ほど前の時点では「グローバルモデルを中心とした海外向けの生産と、日本向けモデルの販売強化により、3~4年かけて日本では90万台半ばの生産体制を目指す」との考えを示していた。
なかでも輸出に関しては北米向け『アコードハイブリッド』の輸出開始や、『HR-V』、『CR-V』を日本から欧州に供給することで、国内の生産を増やす計画も披露していた。
ところが昨日の会見で八郷社長は「100万台の国内の生産能力を構え、それを十分生かしきろうということでやってきたが、国内の販売が我々が想定したよりも伸びなかった。それから多くの輸出をすることが難しい状況にもある」と認めた。
伸び悩む国内販売と輸出、この2つの誤算が狭山工場閉鎖に大きく舵を切る要因になったわけだが、さらにもうひとつの懸念が工場集約を決断させた。それが電動化への対応だ。
ホンダは2018年中に中国で、2019年には欧州でそれぞれ電気自動車(EV)を発売する計画を打ち出している。ところが「まだまだ1本のラインが埋まるほどEVができるわけではない」と八郷社長が述べるように、「今造っている工場にどう(EVを)入れ込むかということがやはり最大の課題」として迫っている。
そこで「ホンダの四輪事業全体が成長するためには今後も日本の製造現場が世界をリードしていくことが不可欠。そのために従来にも増して日本のモノづくりの強化を進めていく」必要があるわけだ。
こうした状況下から国内生産体制の競争力を高めるために狭山工場を閉鎖し一度リセットした上で、電動化にも備えるというのが今回の国内生産再編策の狙いとなっている。
このため寄居工場は狭山工場からの生産移管だけでなく、EVを始めとする電動化に対応するための生産技術を構築、標準化し、それを海外の生産拠点に展開させる役割も新たに果たすようになる。
寄居工場での新たな役割についてホンダの生産本部長を務める山根庸史専務取締役は「ホンダの工場は多品種を流せるようなラインになっている。それを流しながらも電動化にも対応できるような効率の良いやり方を検証しながらやっていく。これも実際にプロセスを造り、それで検証をし、熟成して世界に発信してく形をとる」と解説。
さらに「従来は日本でプロセスを造って、その結果を学んでもらって(海外の工場に)水平展開するような形をとっていたが、今後は電動化の波が短期間で来る、それを全員の力で乗り切るために原点の部分をしっかり理解してもらい、協力しながらやっていく必要がある。従って今回は企画の段階から世界各国の生産技術者に集まって入ってもらってしっかりとやる」とも述べていた。
Read Again https://response.jp/article/2017/10/05/300701.html
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