寄居は、車両の電動化などに伴う新たな生産技術を海外工場の従業員も駐在させて開発、グローバルに展開させる拠点としての機能強化も図っていく。これらの施策によって、国内生産設備の余剰に対処するとともに、加速する電動化など新技術に備えて生産現場の態勢を整える。
狭山の現在の生産能力は年25万台で、従業員は約4600人。従業員は基本的には寄居に異動し、今回の生産再編に伴う雇用の削減は行わない。
ホンダの国内生産能力は、埼玉の2工場と鈴鹿製作所(三重県鈴鹿市)および、一部軽自動車を委託している八千代工業四日市製作所(同四日市市)と合わせ約106万台。狭山の生産を取り止めることで21年度には81万台に縮減される。
八郷社長は「現在の日本での生産は国内販売向けが70万台、輸出向けが10万台であり、集約後の稼働率はほぼ100%で、競争力がついてくると考えている」と述べた。また、現在のグローバルの能力は約540万台だが、埼玉での集約が完了する時点では一部海外での能力増もあるため、527万台になる。八郷社長は「2016年度のグローバル生産である506万台で比較すると、稼働率は96%となる」とし、大きな経営課題である需給ギャップの解消にめどがつくとの認識を示した。
今回の国内再編による生産体質強化の一環として、八千代工業とは完成車生産事業を同社から切り離し、ホンダの全額出資による完全子会社とすることでも4日に合意した。詳細は今後、両社で詰めていく。
八郷社長は、今回の一連の決定の狙いについて「電動化や知能化などの新技術の急速な進展によって、自動車産業は過去にない大転換期を迎えている。その動きに対応できるよう、日本の四輪生産体制を強化してグローバルにスピーディーに展開することで、効率の高いグローバル生産体制を構築したい」と強調した。
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