カンの良い方はすでにお気づきかと思いますが、そのような「寂しい中高年」のケアを担うのが愛人ビジネスです。
中でも、前回(参照:40代後半〜50代の富裕層男性に「寂しい男」が異様に多い理由)で触れた層は、マーケティングの対象として非常に魅力的です。
まず、彼らは人口が多い。今の40代後半(1970年〜1974年生まれ)は、おおよそ「第2次ベビーブーム世代」にあたります。厚生労働省の人口動態統計によりますと、1971年の出生数は193万4239人。男性の方が女性よりも若干多く生まれますから、1971年生まれの男性「だけ」で100万人もいるのです。
1960年代後半〜70年代前半は、毎年100万人に近いペースで男児が増えるベビーブームでした。その男児が今、45歳以上の中高年となっているのです。とにかく人数が多いため、市場として魅力的なのは間違いありません。
私の顧客である、40代後半のある男性(会社役員)は、
「僕らの頃は受験戦争で、浪人して東京に出てきて、代ゼミに通ったなぁ。苦労して夢のキャンパスライフかと思いきや、理系学部だったから男子ばっかりでさ。授業サボって麻雀して……あとは、女子と知り合うために他大学まで出かけてナンパして、コンパを開いたなぁ」
と、懐かしく語っておられました。
同世代の人口が多い彼らは、受験戦争ばかりでなく、女性を獲得する競争においても昔から一生懸命だったようです。
よく言えばハングリー。悪く言えば男性優位で、「女性をモノにする」「据え膳食わぬは男の恥」など、古い価値観をもっておられる方も目立ちます。
◆愛人を欲する中高年男性と若年女性の需給が崩壊
愛人を欲するようなお金持ちは、これまでに幾人もの同世代を蹴落として財を成してこられたのですから、エネルギッシュに見えるのかもしれません。
40代後半の方々には、それくらいの熱さを感じます。お気楽なバブル世代である50代、リタイアライフを楽しむ楽天的な60代、老後の余裕を見せる70代のお金持ちとはまた違う、競争心に満ちたエネルギーがあるのです。
さて、そんな彼らを相手にする女性側はどうでしょうか。
現在アラサーの私が生まれた1980年代後半は、すでに少子化が進行しておりました。先の統計をみましても、毎年60万人程度しか女児が生まれおらず、2016年にはついに男女合計での出生数が100万人を割っております。つまり、現アラサー女性と40代後半の男性とでは、1.6倍もの人口格差があるのです。
少子化により、おそろしい勢いで「愛人とその予備軍」は減り続けています。統計的に申し上げて、中高年男性から見た20代女性は希少価値がありますから、その中で愛人ビジネスを展開するのはさほど難しくないのかもしれません。
さらに、今の若い女性は、「儲かる異性関係」に憧れなど抱きません。むしろ、専業主婦願望が高まり、保守的な恋愛観をもつ女性が増えています。
90年代にはドラマで不倫がもてはやされた時期もございましたが、昨今のメディアは不倫バッシング一辺倒。婚活ブームによって、「20代のうちにまともな結婚がしたい」と焦る女性も増えています。性交経験人数は減少傾向で、保守的な女性が多数派です。
ただでさえ少ない若年女性が、危険な遊びをしたがらないのですね。
「おじさんと付き合うのに、ましてや不倫? お金がもらえるとしても、絶対イヤ。35歳くらいまでの若い彼を捕まえて、主婦になるのが1番幸せでしょ」という声が大多数です。
巷では「パパ活女子」が話題ですが、彼女たちは特殊だから目立つのであって、多くの若い女性はそんなことしていません。女子大生なら真面目に講義に出ていますし、OLならコツコツ財形貯蓄をしています。
いくらパパ活ブームといえど、統計データと若者の意識変化から申し上げて、愛人ビジネスに参入する女性は減り続けていくのが長期トレンドでしょう。
現在、お金持ちの40代後半男性は、そのまま人口のボリュームゾーンとして、愛人を求める「金持ち爺さん」になっていきます。一方、若い女性は減り続ける。これから、新規の愛人を作るのはますます難しい時代がやってくるのです。
ですから、既に愛人をお持ちの方は、もっと今の関係にありがたみを感じてもよいと思うくらいです。愛人も歳を取りますから、若い競合女性に乗り換えられないよう顧客にバリューを提供していく努力は必要です。
しかし、現役愛人としてはたまに愚痴を言いたくなることもあるのです。
<文・東條才子> </span>
Read Again http://news.livedoor.com/article/detail/14676098/
0 件のコメント:
コメントを投稿