2018年5月10日木曜日

異業種、証券・運用に相次ぎ参入 丸井 今夏に投信販売

 小売りやIT系などの異業種企業による証券・資産運用業への参入が相次いでいる。丸井グループは10日、積み立て投資専用の証券子会社を設立すると発表した。KDDIや対話アプリのLINEも証券ビジネスの準備を進めている。本業で培った若年層の顧客基盤を生かし、公的年金への不安などを背景に強まる資産運用ニーズを取り込む狙いだ。異業種の参入が今後も続けば、中高年層に偏っていた日本の資産運用市場の拡大に弾みがつく可能性がある。

 「異業種の柔軟な発想で市場を開拓したい」。丸井Gの青井浩社長は10日の記者会見で強調した。証券子会社を設立し、2018年夏から積み立て型の少額投資非課税制度「つみたてNISA(ニーサ)」の対象となる投資信託の販売を始める。スマートフォン(スマホ)の専用アプリから、自社のクレジットカード「エポスカード」で購入できるようにする。

 同社のカード会員は657万人(3月末時点)おり、20~30歳代が約半数を占める。投資未経験者が多いが、カードのポイントが付く利点をアピールし、店舗でセミナーなどを開いて投資を促す。10年後に100万人にサービスを提供し、資産残高1兆円を目標とする。

 LINEは5月中にも野村ホールディングスと証券登録をめざす準備会社を設立する。国内で月間7500万人が利用するLINEのユーザーに、野村が株式や投信など資産運用の手段を提供する。LINEのチャット上でリアルタイムで株取引ができたり、人工知能(AI)に質問できたりするサービスを提供する。

 KDDIは大和証券グループ本社と組み、今夏にも資産運用業を始める。投信の申し込みから運用確認までをスマホで簡単にできるようにする予定だ。KDDIが抱える約2500万人の顧客データを駆使し「顧客の投資機会を掘り起こす」(高橋誠社長)という。

 参入が相次ぐ背景には若者市場の開拓の余地が大きいことがある。20歳代の社会人に不安に思うことを聞いた調査では「お金」が6割とトップだった。一方、多くの若者はリスクを恐れて投資に二の足を踏みがちだ。シニア客が多い証券大手はこうした若者層に十分に訴求できていない。ネット証券最大手のSBI証券でも20歳代の顧客は7%にとどまる。

 異業種各社は若者が使い慣れたスマホで魅力あるサービスを提供すれば、投資を始めてもらえるとの勝算がある。LINEの出沢剛社長は「投資の未経験者にとって最適な入り口になる」と力を込める。

 証券・運用業は投資を通じた手数料収入を得られるだけでなく、顧客の囲い込みで本業との相乗効果も期待できる。丸井Gの青井社長は「カード利用の拡大で(長期的に)大きなリターンを得られる」と語る。

 野村や大和など提携する証券大手にとってもメリットはある。生き残りに向けて若者層の開拓が課題となっており、異業種と組めば膨大な若者層にアプローチできるとの狙いがある。

 日本は家計の金融資産のうち現預金が約5割を占める。アイデアを駆使した新サービスが人気を集めれば「貯蓄から投資」の流れが加速する可能性がある。

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