【マニラ=石橋茉莉】日中韓3カ国と東南アジア諸国連合(ASEAN)は4日、財務相・中央銀行総裁会議を開き、「あらゆる保護主義に対抗する」との共同声明を採択した。アジアの金融安全網の強化策を検討。多国間で外貨を融通し合う「チェンマイ・イニシアチブ」について国際通貨基金(IMF)と連携しやすくなるよう機能強化することでも一致した。
共同声明では世界経済の情勢をめぐり「保護主義の拡大、想定よりも早期の金融引き締め、地政学的不安定性といった世界経済に対するリスクについて議論した」と言及。4月の南北首脳会談で署名された「板門店宣言」を歓迎し「地政学的リスクの緩和を期待する」とした。
チェンマイ・イニシアチブは枠組みの大部分はIMFによる支援と一体的に発動することが想定されているが、会議ではIMFと支援期間をそろえたり情報共有しやすくしたりすることで、より円滑に発動できるようにすることで合意した。
共同議長国・韓国の李柱烈・韓国銀行総裁は記者会見で「イニシアチブは地域のためにさらに大きな役割を果たせるようになる」と述べた。
イニシアチブを巡っては、支援枠の中でIMFと関係なく参加国の独自判断で使える割合を30%から40%に引き上げることも議論してきた。ただこれには各国の考えに温度差があり、今会合でも足並みがそろわなかった。麻生太郎財務相は会見で「建設的な議論が深まっていくことを期待している」と話した。
このほか日本はシンガポール、インドネシアとそれぞれ結んでいる通貨交換(スワップ)協定の機能を拡大することで合意した。金融危機などで外貨不足に陥った国の通貨と引き換えにドルを供給する内容だが、円も引き出し可能にする。
一連の会議はマニラで開催中のアジア開発銀行(ADB)年次総会の関連会合として催した。
ASEAN+3に先だって4日午前に開いた日中韓の財務相・中銀総裁会議の声明では、9日に開催する日中韓サミットに向け「地域金融協力における我々の緊密な関係をさらに強固にすると確信している」と記した。
また、洪水などの自然災害が頻発するASEANに、復旧資金を素早く手当てする災害保険会社をつくることでも加盟国と合意した。各国が保険金を拠出し、日本も出資する。本部をシンガポールに置き、2019年中の業務開始を目指す。
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